思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

メタルK

巻来功士
☆☆☆★

ヒロインの顔は覚えているので、連載当時に読んでいたはずたが、ほとんど覚えていなかった。最近自伝『連載中止!』を読んで多いに興味を惹かれたのだが。
まず、ビジュアルから入る私としとは、『ジャンプ』の新人にしては絵が上手いことに驚いた。まあ、ぎこちないところもあるが。
ストーリーは、現在ではありがちだが、非業の死を遂げた少女が、超能力をもって復讐する、というもの。それがロボットというか、全身サイボーグであるのは『ターミネーター』だろうか。
とにかく、昔のことでもあるし、元ネタはいくらでも思い浮かぶので、本当は厳密に調べて、どっちが先か峻別するべきなのだが、とりあえず令和の視点から、思い浮かぶものは……
主人公の境遇とか、決めゼリフを言うところは『地獄少女』だし、復讐の相手を容赦なく殺して行くのは『マーダーライセンス牙』とか『バオー来訪者』『ゴージャス・アイリン』にも近い。中でも一番似ているのは『バオー』だろう。先の自伝では、荒木飛呂彦のほうが後出のように描いてあった気がするけど……?
とにかく復讐ものだけあって、主人公以外の登場人物はほとんど死ぬし、なかには拷問とか自白剤とかも出てくる。主人公の裸も、乳首まで描かれている。中身がロボットだからお目こぼしされたのか? それはもう完全に青年マンガ。なかんずく、現在なら『ジェッツ』とか『ヤングキング』とか『漫画ゴラク』みたいな、非オタク系の二番手青年マンガ雑誌に載っているような描写なのだ。よくこんなの『週刊少年ジャンプ』でやったよなぁ(^^;)
しかしまあ、現在のオタク的視点で見れば、設定では会社員だったので二十代なのに、小学生にしか見えない顔のヒロインが、文字通りドロドロ、ズタボロになりながら戦う、という『血塗れスケバンチェーンソー』も顔負けの内容。今こそ再評価されるべき作品では? 邦画の『片腕マシンガール』みたいな低予算カルト映画にはピッタリの原作ですぜ!