思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アイアムアヒーロー
☆☆☆☆

面白い。PG15ということにして、日本映画としては異例の頑張り。
ゾンビものとしても、ゴア描写も日本のマイナーではない作品としては類を見ない踏み込んだもの。
前者は、特殊メイクとCGで、不自然さのないレベル。後者は、ゾンビ相手という口実で、やりたい放題。頭にナイフや矢やショットガンをぶち込む、内臓ははみ出る、腕はもげる、トラックにひかれる(踏まれる)など、真正面から描いていて素晴らしい。ゾンビの造型のどことなく虚無的なところは『ガンツ』とよく似ている。
職場を出て、通りに誰もいない状態から、順を追ってスケールアップする状況はうまい。ただし、それまでが基本的に人通りが少な過ぎて、とても東京には見えないのは問題かと。

ショッピングモールに行ってからは映画オリジナルになったように感じて、映画オリジナルの結末ものならではの失敗作の徹をふまないかと危惧したが、なんとか持ち直した。

ビジュアル的には、ほぼ満点。ストーリー的には冴えない男なのに、主人公に恋人がいる。冴えない点を強調するなら、森三中とかにすべきで、片瀬那奈では「デビューこそできてないが、充分リア充やん?(`ε´)」と思ってしまう。
それのゾンビ化が主人公が最初に遭遇するというのはショッキングで、なおかつそれを殺すのはまあいい。しかし、その後に女子高生と仲良くなるのは、順序が逆では?よく知った人がゾンビになるショックの対象が恋人から初めて会った女の子では、スケールダウンだ。

逃避行を共にする女子高生がゾンビ化するのは意外で良い。それが半ゾンビで、かなり強い。要するにデビルマン。ちょっと無敵すぎるせいか、ナルコレプシーということにして、一応守るべき存在にしている。でも、これじゃあ主人公が必死に守るのだが、最後には覚醒して無双・逆転するんでしょ?とイマイチ応援する気にならない。まあ、結局そうならないのが逆に本作のひねくれた(面白いと言っていいのか?)ところなのだが…。
また、本作の設定ではゾンビをゾキュン「ZQN」と呼称するのだが、誰ひとりゾンビと言わないのは不自然。平成ガメラみたいに、本作にはゾンビ映画が存在しなかったパラレルワールドなのか(´Д`)
本作のゾンビは富士山頂では死ぬ?という噂があったので、主人公はそこへ向かう途中だったので、ショッピングモールの屋上レベルの高低差でもゾンビは死ぬ設定なんだと思ったのに、特にバリケード以上の意味がなかったとは…。
とは言え、ビジュアルだけで満腹のゾンビ映画の秀作。
劇伴はイマイチ。『GANTZ』よりも、こちらこそ、川井さんに頼むべきだったのでは?

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ソフト化されていない?
PG15だから?