思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

クトゥルフ少女戦隊(1)』山田正紀
☆☆☆★

美少女アニメに骨太の本格SFの裏設定をつけた、山本弘?という感じの作品。
観念的で分かったようでまったく分からない説明など、内容は正に山田正紀なのだが。
同じようなスタイルで、アメコミヒーローものをSF的にリファインした秀作『ジャグラー』があるが、あんな感じかも。
還暦をとうに過ぎた人が初めて美少女アニメをネタにした作品を書くのもすごいが、それがしっかりまとまっているのがすごい。ま、私みたいにラノベには批判的な人の意見ではなく、どっぷりはまっている人から見ればまた違うのだろうが…。
本作は第一部ということで、『篠場 骨の殺人』のように中断作品の仲間入り濃厚だなぁと思って読んでいたのだが、あとがきによると書いてみたら二部ぶんのボリュームになったということらしいので、原稿じたいはできているのかも。14年11月発売だと巻末にも明記してあるし、そこは信じて大丈夫なのかな…?
ちなみに、肝腎のクトゥルフ風味だが、進化の根底にいるのがクトゥルフ、という感じの説明だけで、今のところ直線的には出てきていない。

「遺伝子レベルでの「進化」が、なかば自動的にアニメを模倣しているのだ、と。
 遺伝子レベルでの「進化」がアニメを模倣する。そして、またさらにその現実がアニメに反映される……。
 それは実に驚嘆すべき、ほとんど荒唐無稽としか思えない」