『紙の動物園』
☆☆☆★
幻想文学系かという先入観だったが、それ以外にもファンタジーあり、イーガンばりの本格SFあり、支那の古典調ありと、幅広い作風。
15作あるので、印象的なもののみ。
『紙の動物園』☆☆☆
広義のミステリーといえるファンタジー。中国移民の母親が、子供に折った折り紙が動き出す。改めて見ると、『ドラえもん』である。
『もののあはれ』☆☆☆★
日本人がのる移民宇宙船でのレスキューもの。日本人読者には、アニメなどで見飽きた設定とストーリーだと思うが。
『結縄』☆☆☆★
アナログの極みである、紐の結び目でメッセージを伝える方法は、支那よりもむしろ中米の専売特許だろう。それをDNAに結びつけるところはイーガン的。
『選抜宇宙種族の本づくり習性』☆☆☆★
作者なりの『スターメイカー』。宇宙に住むであろういろいろな種族の本に対する姿勢を描いた(ストーリーはなく、列挙しただけ)もの。
『どこかまったく別の場所でトナカイの大群が』☆☆☆
意識をアップロードする、イーガンのみならず先端SFらしい作品。
『波』☆☆☆★
移民宇宙船を再びテーマにしたもの。おまけに意識をアップロードして進化するのも同じ。
紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) ケン・リュウ 古沢嘉通 早川書房 2015-04-22 |