思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『日本人のための憲法原論』小室直樹
☆☆☆☆☆

再読。
なるべく重複しないようにメモ。

「たとえ「憲法」と題された法律があったとしても、憲法は本質的に慣習法なのです。」

アメリカに連れてこられた黒人奴隷は、その数1200万人とも、1500万人とも言われている」
(そもそもがでっち上げなのだが、仮に事実だったとしても)、アメリカ人に日本人が性奴隷についてとやかく言われる筋違いはない。

「革命とレボリューションは違います。(略)そのとき中国史における「易姓革命」では王朝交替が起きても変わるのは、文字通り、皇帝の姓だけです。社会の体制そのものは、本質的には変わらない。(略)レボリューションとは旧体制の否定を意味します。」

「主権とは「誰からの制約も受けずに自由に行動できる権利」という意味です。」

「ヨーロッパがキリスト教の力によってデモクラシー国家になったように、日本は独自の宗教をもってデモクラシー国家になる。そのために行われたのが、天皇の神格化です。
史上、どこの国が近代化のために宗教を作ろうと考えたでしょう。こんな国はどこにもありません。その意味では、明治の日本がやったことは空前絶後です。」

「西洋の憲法とはそもそも国王の権力を縛るためのもの。権力者と国民の契約です。ところが日本においては、その君主が「神である」とされた。現人神である君主をどうやって縛ればいいかという大問題が生じてくる。(略)天皇憲法に縛られないとしてしまったら、何のための憲法かという話になる。それではヨーロッパの絶対君主と同じですから、とうていデモクラシー国家とは認められない。(略)明治天皇は「この憲法を守ります」という宣言を、国民に対してなさったのではない。皇室のご先祖様に誓ったことだから守る。憲法を破れば、ご先祖様に申し訳ないというわけです。(略)この時期の日本ではどこをどうやっても、天皇と人民の契約なんてものは成立しようもありません。(略)しかし、これが結果として、後になって響いてきた。昭和になると、天皇の権威に名を借りて軍部が専横を始め、ついに日本は暴走してしまうことになった。」

「君主が立憲君主か、専制君主であるかを見分けるポイントは(略)「拒否権」です。つまり、政府が決定したことに対して、君主が拒否権を発動できるのであれば、その国は立憲君主国ではありません。逆に、君主が政府の決定にすべて従うのであれば、その国は立派な立憲君主国。」