思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

グローバルな自由主義経済などというのはまやかしで、結局は国家による経済ナショナリズムが世界を動かしている、というもの。
内容じたいはすごく賛同できるが、重複が多いし、くどい(学者の論文的ともいえるが)ので、手放しではお勧めしづらい。
結論としては最後の最後のこれに尽きる。
「最大の問題は、せっかく日本に滞在する有利な客観的条件を生かそうとしても、経済自由主義というイデオロギーがそれを妨げているということなのである。例えば、デフレ脱却と震災復興に関して言えば、健全財政論という典型的な経済自由主義の信念が必要な額の財政出動を拒否し、機能的財政による国民の救出を妨害している。
 結局のところ、我が国の危機の真因は、国民不在のイデオロギーである経済自由主義の支配を脱することができないというところにあるのである。我々が直面しているのは、死相の危機なのだ。」

国力とは何か 経済ナショナリズムの理論と政策 (講談社現代新書)国力とは何か 経済ナショナリズムの理論と政策 (講談社現代新書)
中野 剛志

講談社 2011-07-15