思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

スクリプトドクターの脚本術 初級編』三宅隆太
☆☆☆★

前半は脚本の書き方。後半はスクリプトドクターについてのバリバリ大まじめな教科書。
前半は、ハウツー以前の精神的な心構えを重視しているのが特徴。シナリオセラピーとあるように、カウンセラー的な側面が多いのが面白い。

「二時間サスペンスは厳密に言うと「サスペンス」ではなく「謎解き(ミステリー)」のジャンルです。
したがってこの「情報整理のシーン」の目的は、クライマックスの「謎解き場面」に向けて、視聴者に「いま一度、これらの情報を頭にたたき込んでから後半部を見てくださいね!」という目配せをすることにあります。
一方、「反転攻勢のシーン」の本質的な狙いは「ここから先は、前半部のひっぱりとして重視していたミステリー要素はもはやどうでも良いものです。理性的に見るのはやめて感情的にハラハラしてください」というメッセージを送るためのものです」

戦略大作戦
☆☆☆

ミリオタ的に、シャーマンを始めとして米陸軍車両が活躍するのはいいのだが、ストーリーはまあ、大雑把というか…。
戦略どころか、単なる強盗の話やん(´д`)
米軍の兵士である主人公が、ドイツ領内の銀行に金塊が保管されていることを捕虜から聞き出し、自分達だけで独り占めしようとする話。単なる強盗犯の話やん。倫理的にはとても賛成できないし、ピカレスク・ロマンとしても能天気な音楽とか、どうにも…。
タイガーはソ連t-34あたりをベースにしていることは足回りと、前寄りのでかすぎる砲塔を見れば一目瞭然。
市街戦で、車を踏み潰したり、塀や壁をぶち壊して進むあたりは迫力。
タイガーはともかく、シャーマンは白ちゃけた理、うっすら塗料が掠れているのが参考になる(^_^;)

戦略大作戦(Blu-ray Disc)戦略大作戦(Blu-ray Disc)

ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-07-14

『新装版 失楽園(上)』尚村透

賭ケグルイ』作者(作画)の前作だが、圧倒的な画力だった同作に比べると、本作はありきたりのスクエニラノベ?)系の絵柄。普通なら私がスルーするタイプだ。
賭ケグルイ』への片鱗は242ページくらいから出てくる狂気顔くらいで、巻末まで来ても、全体の絵柄はラノベ絵から抜け出ていない。
設定は、男だけのバトル資格者の中で、主人公だけが女ながらに資格を持つという、ちょうど『インフィニット・ストラトス』の逆みたいな感じ。学園内の勝ち上がりバトルロイヤルという点でも、とても原作者のあるなしの差があるとは思えないほど似ている。
面白い違いは、『賭ケグルイ』では生徒会が全てのルールを決めたのに対して、本作ではバーチャルと言い訳的な設定ながら、そのファンタジー的なバトルの管理体制を、本作では生徒会すら完全に把握していないところ。何しろ、ルールの全てを生徒の1割しか理解していないのにやっているのだ。優秀な進学校どころか、落ちこぼれ高校のヤンキーバトルマンガ的なダメダメさ(^_^;)(*_*)

新装版 失楽園 上巻 〜叛逆の乙女の章〜 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER)新装版 失楽園 上巻 〜叛逆の乙女の章〜 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER)
尚村透

スクウェア・エニックス 2017-06-22


バルカン超特急』☆☆★

タイトルがメチャクチャ格好いいのだが、中身と言えば、白黒の鉄道(国際謀略)サスペンスなのだ。
ミステリーのジャンル的には、鉄道内での人間消失もの。ただし、そこに至るまでに、ホテルでのゴタゴタがあったり、イタリア的なウィット/ユーモアが結構長いので、21世紀の目で見るとかったるい。いきなり鉄道内で始めれば、30分のテレビドラマで十分な内容。
主役かと思われたイギリス紳士たちが偽証するのも、「イギリス流の関わらない主義」とか、当時の世相や民俗を知らないと、ムカつきしか思えない。

バルカン超特急 [DVD]バルカン超特急 [DVD]
エセル・リナ・ホワイト

映像文化社 2013-11-28

ジョジョリオン(12)』
☆☆☆★

全体に低迷な第7部ほどではないが、8部は、6部なみに面白い時もある。本巻は当りのほう。
前半は触れた者を極限まで柔らかくする、5部のボスの娘の能力を過激にしたようなもの。特徴は、奇形に偏執的な荒木マンガらしい人体変形と、指紋と手形のスタンドのアートと言っても過言ではない美しさだ。それに引き換え、本体のダサダサっぷりが凄い。
ダサダサと言えば、吉良もつり目が不細工だし、マンガ的な絵柄の変化と言えばそれまでながら、まっとうに美しいデザインなのは康穂や大弥くらいではないか……?
ことに8部は、良くも悪くも、人と違った/変わったことがしたいだけじゃないのか?と思える。肉体の変形がそうだし、コマ割もそうだ。たった隣のページの1割くらいを割り込むために見開きにしたり、会話相手のリアクション(主に目であることが多い)を丸いコマでインサートしたり。49話で吉良が港湾倉庫を見張るコマ(ノンブルが皆無なのだ(;´д`))でも、ページめくり的にも吉良を右に奥のが当然なのに敢えて左に置いたり(『夏目の目』的な分析)。
しかし、ジョセフミとのバトルの真っ最中に過去、しかも物語の核心に迫るエピソードをぶちこんだり、その過去編も時間が飛び飛び(スキップするだけで、前後したりはしないが)になるなど、やりたいほうだい……なのか緻密な計算なのか……。月刊誌ならではの、気持ちの赴くままに書いているように感じるけどなぁ……。
毎回ではないが、ギャグがある時は、その比率が意外と多いのも特徴。下ネタも同様。その割には直接的な、青年誌的なエロがないのも不思議。
基本的には7部以降は、過去の登場人物がいなかったのに、スタンド:キラー・クィーンがまんま再登場したのには驚いた。7部のディオは、絵柄が変わったのと、スタンドは別物だったので、そこまでの驚きはなかったのだが。4部の仗助な髪型のキャラも、名前が違うのと、リーゼント以外は髪がない(剃り上げ)なので、これまた同上。
あ、そうそう、吉良の母親なるキャラは意外と美人かも(*´ω`*)
しかし、アクション映画的な進展ではなく、モロに輻輳する謎解きだけを全面に出した長編って荒木マンガでは初めてかも……。どこまで緻密に設計されているのか、期待4割、期待はずれ6割くらいの心持ち(これは完結まで読み続けるかどうかの確率でもある)。

ジョジョリオン 12 (ジャンプコミックス)ジョジョリオン 12 (ジャンプコミックス)
荒木 飛呂彦

集英社 2016-03-18

『公正的戦闘規範』追記
『軌道の環』の主役の名前がジャミラなのだが、どうしても『ウルトラマン』(セブンだったかな?)を連想せざるを得ない。どこでウルトラマンに繋がるのかと、ワクワクしながら読み進めたのだが、結局無関係だった(´д`)こういう変わった、なおかつ特別な意味のある名前は使わないで欲しい。
……もしかして、マニアなら、隠された関係に気がつくようになっているとか??

公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫JA)公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫JA)
藤井 太洋

早川書房 2017-08-24

『スケールアヴィエーション 2018年09月号』☆☆☆★

期待4割、期待はずれ6割くらいだった本特集。結果的には、満足度も、普段の特集よりは面白いが、期待を越える部分はほとんどなかった。いつもの、作例(完成形)ばかりで、肝心の「高価格キットと低価格キットの違いと、その差をどう改造する、または楽しむか」の具体例がほとんどなかったのだ。その趣旨に沿ったのはスワン松本と若手モデラーとの対談のみ。それをこそ、作例(製作途中写真&解説つき)で見たかったのに……。要するに、特集の構成としてはスタート地点に立ったところ。55点なのだ。

Scale Aviation 2018年 09 月号 [雑誌]Scale Aviation 2018年 09 月号 [雑誌]

大日本絵画 2018-08-10

『ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション』
☆☆☆☆

確かに面白いアクション映画だが、特筆すべき感動ポイントはなかったなぁ……。
本作で評価されているポイントは、全てメイキングの話じゃないのか。もちろん、大前提として、テレビ版『スパイ大作戦』らしいか否か、という判断基準はあるが、そちらに愛着がない私的にはその感慨はないし。
トムの凄いスタントについても、現在では、CGによるスタントマンからの画像すげ替えにしない意味はないだろう。(あるとするなら、カンフー的アクションくらいでは)
ミステリーとして、ヒロインが敵か味方か、というのも、信頼を得るためとは言え、単なる意外性のためのツイストとどこが違うのか微妙なところ。
イギリス首相の肉声を録る作戦はなかなかよくできていた(CIAだからこそという前提を活かして)。

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パラマウント 2018-03-27



『ゾンビ・マックス』補足

とにかく勢いがあり、無駄なダレ場がないのがいい。感傷的になりそうなシーンもサクサクゾンビ化したり射殺して展開が進んで行く。
邦題は単なる売らんかな的詐欺ではなく、最後に出るタイトルなど、モロにパクりであることを隠していないのだ。

『ゾンビマックス! 怒りのデス・ゾンビ』
☆☆☆☆
まんま『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のパクリなタイトルで、いかにも劇場未公開のC級映画、という感じがプンプンする。
……が、意外や意外、これが面白いのだ。『29日後』と『マッドマックス』シリーズの、1、2、4を合わせたような感じで、とにかく勢いが良い。スプラッタ描写は『29日後』寄りで、結構頭が吹っ飛んだり、指がちぎれたりと過激。
4まで公開されているこの時期になぜ、1まで元ネタとして挙げたかというと、低予算っぷりが似ているから。
特に、アメフトのスーツを着たりするところは2よりも1を彷彿とさせる。
主人公の妹であるヒロインの側の描写はモロに4で、こちらはほぼ1シーンで展開するためか、画面処理的にかなり凝ったものになっている。
ゾンビを操れる、という設定はかなり御都合主義だが、その際のヒロインが格好良いので許せてしまう。4のフェノロサにも負けず劣らずだ。

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トランスフォーマー 2016-04-02