思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション』
☆☆☆☆



『貞子VS伽耶子』
☆☆☆★
C級の下らないものかとなめていたら、意外や意外、『貞子3D』とかよりよほど初期の『リング』に近い、真面目に作っている。むしろ、井口昇作品みたいに、もうちょっとバカバカしいテイストでもいいんじゃないかと思うくらい。
本作オリジナルの要素(『呪怨』シリーズは見てないのでそっちに出てるのかもしれないが)として、退魔師男女ペアが出てくるのだが、これがまた胡散臭い……。美少女好きなら(私がそうかどうかは微妙だけど)、長いお下げの女の子が気になるのだが、盲目という設定なので、メガネをかけている上に一度も目を開けない、アップもないという不遇の扱い……(´д`)
二人(二匹?)の対決は最後の最後。『エイリアンVSプレデター』が最初から戦ってたのと比べると、こちらは怪獣映画みたいな構成だ。

以下、ネタバレ

本作が面白いのは、主要登場人物がほとんど死んでしまうこと。死んだかどうかはっきりしない(倒れただけ?)なのは退魔師の二人くらいなのだ。
何しろ、『リング』では主人公に当たる教授が中盤に死ぬは、主人公の親友は終盤に差し掛かったクライマックス前に死ぬ、おまけに主人公まで最後に死んだっぽい。
因みに、上述の死亡者リストには『呪怨』サイドの人物は入っていない。こちらは、キャスティング的にヒロインを始め、どいつもこいつも魅力に欠けるんだよなぁ……。
ラストでは、貞子と伽耶子が戦って、「勝ったほうが人類の敵になる」目論みは崩れて、合体して融合する、というまさかのオチ。こういう二大ヒーローの夢の対決ものの企画では、競演というケース(戦隊ものや、コナン対ルパン三世など)を除くと、どちらかが勝つケースはあまりなく、引き分け、両者リングアウトという場合がほとんど。今回のように合体してのある種の無効試合というケースは珍しいのではないか。私は基本的に天の邪鬼なので、狙いが裏目に出て、人類の脅威がさらに拡大した、というオチは歓迎。
ただし、これだと『エイリアンVSプレデター』とは違って、『貞子VS伽耶子2』は作れないけど(^_^;)

『公正的戦闘規範』藤井大洋
☆☆☆★

『コラボレーション』☆☆☆★
作者の本領発揮というか、円城塔的なコンピューターSF。アイデアとしては取り立てた目新しいものは何もないが、ディックやサイバーパンク的な、小説としてのまとまりが佳品と感じさせる。


『常夏の夜』☆☆★
量子コンピューターを、『ドラえもん』的な発想で未来予知に使った話。というより『ジョジョ』っぽいストーリー展開。これまた量子万能論みたいで好きではない。


『公正的戦闘規範』☆☆☆★
中国をテーマにした戦争とコンピューターに関する話。『エンダーのゲーム』の逆パターンと書くと、オチが読めてしまうか……?ミステリー的な構成でまとまっている。


『第二内戦』☆☆
宮内裕介の作品と言われても区別できない。内容もほとんど覚えられない。従って面白くなかった。

『軌道の環』☆☆☆☆
いささかネタバレ気味になるが、いわゆる「ナノマシン万能論」的な話だ。アイデアそのものは、ハードSFの王道的で、材料問題の解決のブラックさも好きなタイプではあるのだが……。

餃子の王将社長射殺事件』一橋文哉
☆☆☆☆
角川文庫

中国のヒットマンとか、闇社会とか、『世田谷一家殺人事件』との共通点が多く、まるで社会派推理小説のシリーズのようだ。というより、そんな事件だから迷宮入りするのだろうが……。

「今の暴力団幹部は安易に拳銃を発砲したりはしない。詰まらない行為で自分が逮捕されるだけならまだしも、組長まで捕まってしまうのでは割に合わないし下手して組が解散させられることにでもなれば、大損害になる。」

最終増補版 餃子の王将社長射殺事件 (角川文庫)最終増補版 餃子の王将社長射殺事件 (角川文庫)
一橋 文哉

KADOKAWA 2016-09-22

『人魚姫』
☆☆☆★

少林サッカー』や『カンフー・ハッスル』みたいな、いつものチャウ・シンチー映画。アクションあり、笑いあり、下ネタあり、涙ありの、典型的な香港映画とも言える。
ファンタジーあるいは童話、昔話の典型ともいえる『人魚姫』を、現代を舞台にして作ったらこうなる、という内容。
人魚族の描写は、『ヘルボーイ ゴールデンアーミー』(をチープにしたような)を連想させる。人魚族にも、美少女だけでなく、普通に男もおばさんも、婆さんまでいる、というリアリズムが香港映画的(お笑いセンス)。
お笑いアクションは、子供向けで、大人が真面目に見るにはバカバカしい。『少林サッカー』は笑えたのになあ……。
ラストに大企業が人魚族を虐殺するシーンは、単にグロがやりたいだけだろうが、ライブフィルム(ドキュメントまたはニュース映像)でのイルカの虐殺シーンをオープニングに入れておくことで、エクスキューズとしているあたりは巧みなところ。しかし、チベットウイグルでやっているであろう事を鑑みると、よく中共が公開を許可したよなあ……。
美少女を徹底的にボロボロにさせるあたりも香港映画スタイル。
最後に人間側の主人公があれで生きてたのはなんだかなあ……。

人魚姫 [Blu-ray]人魚姫 [Blu-ray]

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2017-07-05


ののちゃん全集(11)』
☆☆☆☆★

大盛り・特濃である。どのページも面白い。ものによっては、見開きで2つ3つ傑作があったり。本当は『ドーナツブックス』くらいのボリュームで充分なのに、その10倍くらいの分量があるのだ。3000円でもいいくらいのお買い得。
吉川ロカに続く、いしい4コマを越えた「ひなちゃん」の登場、不条理メタ的ネタ(『燃えよペン』みたい)7076、ある意味では谷岡ヤスジ的ドアップに通じる描き込みの6813は特筆もの。
書く方が写経なら、単行本を読むほうは読経か八十八箇所巡りか……(^_^;)

ののちゃん 11 (GHIBLI COMICS SPECIAL)ののちゃん 11 (GHIBLI COMICS SPECIAL)
いしい ひさいち

徳間書店 2018-07-27

『漢字は日本語である』小駒勝美
☆☆☆☆★
新潮新書

泣く子も黙る新潮社の校閲部の著者が書いた、漢字と日本語についての本。日本語または漢字に興味がある人なら、読まずにはおれないタイプの本であり、実際に中身も面白かった。
エピソードが紹介されているが、それまでの漢和辞典は、あくまで漢文を読むためのもので、日本文中の漢字を調べるには使いづらいものだった。それを、あくまでも現代日本人のために『新潮日本語漢字辞典』を作ったというから、読んでみたいではないか。

「意味を表す部分を部首にする」

「文部省が定めた「々」の正式な名称は「同の字点」。パソコンでも「どう」と打ち込んで変換すれば「々」が出てくる。もともとは「仝(どう)」という字が変化してできた記号であることから、この名称になった。」

「この二つの字は全く別の字である。
「斎」(略)この旧字は「齋」(略)「斉」のほうは(略)「齊」」

「戦前の新聞の見出しや、商店の看板を見ると、横書きの文字は右から左へと書かれている。(略)実はあれは、縦書きなのである。どんなに横長でも、縦書きなのだ。」

「五行とは「木、火、土、金、水」(略)季節は4つしかないので、五行と対応させると、要素が1つ余ってしまう。そこで、春夏秋冬それぞれの季節の間に「土用」という中間地帯を作り、ここを「土」に対応させた。(略)暦の上では、春と夏、秋と冬、冬と春の間にも土用があるのだ。」

「戦前は「薯」と書けば「馬鈴薯(ジャガイモ)」を指し、「藷」であれば「甘藷(サツマイモ)」だった。「芋」は「里芋」だけたったのである。」

東芝がわが国最初のワープロ「JWー10」を価格630万円で発売したのは78年である」

漢字は日本語である (新潮新書)漢字は日本語である (新潮新書)
小駒 勝美

新潮社 2008-03-01

『デルタフォース2』
☆☆☆★

三宅隆太監督オススメのチャック・ノリス映画。典型的なB級アクションである。要するに、ちょっと前の香港映画とか、ランボー、『エクスペンダブルズ』みたいなもの。80年代テイストである。
まあ、それ以上でもそれ以下でもない。
当時なら、暇潰しに映画館に入って、「面白かったね」というだけで終わってしまうような類い。そもそも映画なんてそんなものかもしれない……などと、逆に深く考えそうになったり(^_^;)
悪党が落っこちてそのまま終わるラストはすっきりしててよい。

Delta Force 2: The Colombian Connection [DVD]Delta Force 2: The Colombian Connection [DVD]
Avi Kleinberger

MGM 2000-10-23


宇宙戦艦ヤマト(1)』
☆☆☆★

1巻となっているが、実は完結している。ファーストのテレビ版(のダイジェスト)としては、だ。
第1話を重点的に拾い、後半へ行くほどカットが増える。ガミラス星での最終決戦すら省略したのには驚いたが……。そのくせ、デスラー残党バトルはまともに描いていたり……。
デスラー砲が波動砲だと書かれているのは新発見。というか、ガミラスにも波動エンジンがあるほうが自然だ。
脳内でアニメのタイミングを補完してやれば、現代の目で見ても普通に楽しめる。
メカの作画はけっこうばらつきがある。P91のヤマト、そしてP176のコスモゼロはメチャクチャ格好いい!
新説という意味では、ファンサービス意外の無意味がないと思われた、ハーロックの正体が古代守ではないか、というのも驚いた。

宇宙戦艦ヤマト (第1巻) (Sunday comics―大長編SFコミックス)宇宙戦艦ヤマト (第1巻) (Sunday comics―大長編SFコミックス)
松本 零士

秋田書店 1975-07-20

レクリエイターズ(3)』
☆☆☆★

女に見えてしまうキャラ描写にひっかかる。ロボ少年がそうだが、騎士ももしかして男なの??
今回は、いちおう政府が対応を始めた、という展開こそ最初にあるが、あとはキャラが増えて戦っているだけなので、大して面白くない。

Re:CREATORS(3) (サンデーGXコミックス)Re:CREATORS(3) (サンデーGXコミックス)
加瀬大輝 あおきえい 広江礼威

小学館 2018-07-19

電人ザボーガー
☆☆★

井口監督らしい、色んなところに被り物をした女と男が、バカバカしい戦いを繰り広げる。
原作を強くオマージュした第1部は楽しいが、板尾がおっさんになった大門を演じる第二部はその良さ(第1部には、いきおいだけはあったのに)がなくなってしまう。まだ1部だけなら☆☆☆だったのだが…。
第1部で、ヘルメットについた蛇腹ホース付きマイクを逆手で持つのは純粋に格好良かった。

電人ザボーガー [Blu-ray]電人ザボーガー [Blu-ray]

キングレコード 2017-02-22