思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ジョジョリオン(12)』
☆☆☆★

全体に低迷な第7部ほどではないが、8部は、6部なみに面白い時もある。本巻は当りのほう。
前半は触れた者を極限まで柔らかくする、5部のボスの娘の能力を過激にしたようなもの。特徴は、奇形に偏執的な荒木マンガらしい人体変形と、指紋と手形のスタンドのアートと言っても過言ではない美しさだ。それに引き換え、本体のダサダサっぷりが凄い。
ダサダサと言えば、吉良もつり目が不細工だし、マンガ的な絵柄の変化と言えばそれまでながら、まっとうに美しいデザインなのは康穂や大弥くらいではないか……?
ことに8部は、良くも悪くも、人と違った/変わったことがしたいだけじゃないのか?と思える。肉体の変形がそうだし、コマ割もそうだ。たった隣のページの1割くらいを割り込むために見開きにしたり、会話相手のリアクション(主に目であることが多い)を丸いコマでインサートしたり。49話で吉良が港湾倉庫を見張るコマ(ノンブルが皆無なのだ(;´д`))でも、ページめくり的にも吉良を右に奥のが当然なのに敢えて左に置いたり(『夏目の目』的な分析)。
しかし、ジョセフミとのバトルの真っ最中に過去、しかも物語の核心に迫るエピソードをぶちこんだり、その過去編も時間が飛び飛び(スキップするだけで、前後したりはしないが)になるなど、やりたいほうだい……なのか緻密な計算なのか……。月刊誌ならではの、気持ちの赴くままに書いているように感じるけどなぁ……。
毎回ではないが、ギャグがある時は、その比率が意外と多いのも特徴。下ネタも同様。その割には直接的な、青年誌的なエロがないのも不思議。
基本的には7部以降は、過去の登場人物がいなかったのに、スタンド:キラー・クィーンがまんま再登場したのには驚いた。7部のディオは、絵柄が変わったのと、スタンドは別物だったので、そこまでの驚きはなかったのだが。4部の仗助な髪型のキャラも、名前が違うのと、リーゼント以外は髪がない(剃り上げ)なので、これまた同上。
あ、そうそう、吉良の母親なるキャラは意外と美人かも(*´ω`*)
しかし、アクション映画的な進展ではなく、モロに輻輳する謎解きだけを全面に出した長編って荒木マンガでは初めてかも……。どこまで緻密に設計されているのか、期待4割、期待はずれ6割くらいの心持ち(これは完結まで読み続けるかどうかの確率でもある)。

ジョジョリオン 12 (ジャンプコミックス)ジョジョリオン 12 (ジャンプコミックス)
荒木 飛呂彦

集英社 2016-03-18