思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

RRR

☆☆☆☆★

観た人の間では、全方位的にめちゃくちゃ評判が良くて、『トップガン2』よりも面白い、という人もいるとなれば、観ないわけにはゆかない。ただし、公開当時から、イギリス統治下のインドの、蜂起の映画と聞くと、どうやって、そこまで終始面白い映画になり得るのか、疑問だった。だから『バーフバリ』の監督の新作と知っていても劇場には行かなかった。
冒頭から、ダブル主人公のそれぞれが、とんでもない男であることをそれぞれ見せて、二人が出会うのは開始後20分くらいか。インド人たちを虐げるシーンも当然あるが、過剰にドラマチックに演出することで気分がドヨーンとなることはないし、舞踏会のシーンでは、インド式のダンスで返り討ちにしすらする。ここはめちゃ燃えるシーンだが、現実的には、イギリス人は、同じ土俵には乗って来ないよねぇ……。このように、本作には、普通なら「詰み」となる数々の場面で、ある種のミュージカル的な強引な展開で、どの場面でも、燃える方向に観客の心理を誘導する手腕が凄いのだ。
CGも使われていて、それも大きめテレビでも分かるくらいの、そこまで精緻ではないレンダリングだが、勢いがあるので、そこまで気にならない。野生の男ビームがバイクを持ち上げる(トンデモ)シーンで、『ザ・ワン』を思い出した人は何人いるかなぁ……?
いくつか観た感想動画で言及している人はいなかったが、決めたカットの作りが、非常にアニメっぽい。スローモーションまたは止め絵で決まる(ポストカードにできる)くらいで、監督によると、ほこから逆算して作っていったとか。その効果は素晴らしく、ハチャメチャなアクションなのに、その遠近に伏線が作られているので、「そんなのあり得へんやろ」と思いつつも、「まあ、その前にめちゃ鍛えてたしなぁ」と、なんとなく納得させられてしまうのだ。
余談ながら、英軍に殺された軍事的指導者ラーマの父親が、大河原伝次郎に見えた(^^;)