思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ナショナル・コード 陰謀の国家


☆☆☆★

面白いところと、「なんじゃこりゃ?!」となるところが混雑した、ヘンな映画。原題は邦題とは全然違う。何より、国家の関与は、あんまり関係ないし。ヒット作『ダヴィンチ・コード』に便乗したのかな?
女子大生の主人公が、歴史に秘められた謎的なものを卒論にしようと、色々調べていると、触れてはいけない世界に……という話。
それは、吹替版だと「しんせいきかがく」と言われて、最初の脳内に変換されたのが「新世紀科学」、しばらく台詞を聞いて、ようやく「神聖幾何学」のことだと分かった(^^;)
キリスト教をモチーフにした絵画の構図を検討すると、共通する図形が浮かび上がってくる、というのは、歴史ミステリーにおいては定番の手法。どこまでがまともな学問の範疇なのかは怪しいけど。
資料を探しに立ち寄った古本屋で、そのへんに詳しい店主も含めた四人組に出会い、さらにスケールは広がってゆく。
厳密にはネタバレだが、第一幕の終盤には出てくるので書いてしまうと、フリーメーソンとか、そっち方面(^^;)
サスペンス/スリラーとしては、謎の深みにハマってゆくのと、細かいツイストと、最後に大きなツイストがあって、けっこう面白かった。これまた、「型」が強固だから、中身はなんであれ、面白い、というジャンルの典型かも。
また、先に書いたように、低予算なのだが、その主題かは、必然的に登場する教会とかの内装を美しく撮っているので、だいぶルック的に加点されているのも大きい。
髪フェチとしては、オレンジ綺麗なのロングヘアである主人公が、次第に髪がボサボサになっていくという演出にも関心した。
後は、脚本とは関係ない不満点。
本作に限らず、字幕よりも情報量が多いのに、日本語で話すと、やたらのんびりして間伸びして感じるのはなんでだろう?? YouTubeなら、再生速度をいじれるのがありがたく、実際、1.25倍でちょうど良かった。
音響設計がおかしい。歌が流れるのも、不自然だし、劇中で流れている男かどうかも不明。でも、もしかしたら、吹替版の作成のリミックスが悪いだけで、字幕版なら解消しているかも。

以下ネタバレ

結局のところ、フリーメーソンが世界を支配しているのかどうか、結論は出されない。
ラストとしては、主人公が色々訊いていた古本屋店主たちの一人が殺され、クライマックスでは、FBIに終われた主人公が、精神に異常を来して飛び降りたのか、悪魔的なモノに憑かれて、殺されたのか、死亡して終わる、というのが、サスペンスのオチとしては良い。さらに、主人公の同居人が、国家側ではなく、フリーメーソン側の人間だった、というのを明かして、スパッと終わるラストシーンも良い。しかも、フリーメーソン側も、あちこちでチョイ役的に出ていた、古本屋チームと同じ4人で対をなしている、というのも上手い。