この作者は、ノワールのガンアクションの人、というイメージだったので、戦車に乗ったカバーに「あれ?」と思った。しかも、裏表紙には、『フェイト』のような女騎士が描かれていて、「第二次大戦の戦車モノに見えるけど、中世へのタイムスリップものかも?」という懸念が拭いきれず、新刊で買うギャンブルは避けざるを得なくて、古本で購入。
広く言えば、第二次大戦中の戦車ものだが、あくまでも架空世界。女性兵士も普通にいる、現代アメリカやイスラエル、当時のソ連以上の国家だ。まあ、萌えマンガのためのご都合主義、というだけだが。
『乙女戦争』に近い、戦争のハードな、というか、精神的にキツい側面を描いた作品。
だからなのか、小説じゃないんだから、というくらい、戦場にあっても、精神論をグダグダ語り合っているのが、おっさんからすると、ちょっと鬱陶しいかな。言ってる内容自体には共感するけど。
本作で描かれているのは、戦車戦というよりも、戦術。それよりも、中世の軍略、というほうが近いかもしれない。
内容じたいは悪くないのだが、2つの意味で、絵柄がイマイチ。まず、キャラがなんか初心者っぽい。雑誌『ガンガン』っぽいというか(^^;) 広江玲威はもっと絵がうまかったと思うのだが……。
また、戦車ものとしては、戦車がカッコ悪いのが致命的かも。敢えて国家だけでなく、戦車も架空のものにしている弊害だ。61式とレオパルト1と、コメットなどのイギリス系などを混ぜた感じだが、とりあえず全体のシルエットが好きじゃない。
最後のスタッフクレジットを見て驚いたが、これ、3DCGなのだそう。どう見てもペン画にしか見えないが、『ガルパン』風に、輪郭だけ抽出してレンダリングしているのが、パースだけつけたレンダリングをトレースしているのか。また、そこにプラモデラーのけんたろうの名前があるのも驚き。まさか、彼がデザインした(戦犯)のか……?
あとがきによれば、、とりあえず、第一部完的な感じだそう。まあ、次は出ないだろうなぁ。