思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

岸辺露伴ルーヴルへ行く


☆☆☆

原作の内容はほとんど忘れていたので、NHKドラマ版の延長として観た。これが正解で、ドラマオリジナルの泉鏡子の存在といい、スタンドを見せない演出といい、テレビの路線をまんま踏襲している。露伴役の高橋一生もピタリとはまっている。
作中にでてくる『ピンクダークの少年』の絵は、荒木飛呂彦直筆じゃないような感じだったなぁ。『変人偏屈列伝』みたいに、アシスタントが描いたのかな?
前半は重厚な画面で割といい感じだったが、ルーヴルの地下に入ったところから、あからさまに日本で、狭い地下通路でも扱いやすい小型カメラで撮ったんじゃない? というチープな画面になった上に、倉庫で起きる出来事もCGを使った上に、超自然的な現象(スタンドや幻覚)なので、ますます物語に没入できなくなるのだ。
真相がほぼ明らかになってから、じっくりと過去のエピソードを語る場面も、エピローグ的な、1、2分の話しかと思いきや、5分くらいあって、しかもさらに現代へ戻ってくる。後で原作を読み返してみると、確かにほぼ同じ内容が描かれているのだが。謎の解明として出すのではなく、真相を観客に明かした後で、念押しというか、ディテールを紹介する、という構成なので、なおさらくどく感じる。
「この世で最も黒い絵」という設定は面白いし、冒頭に出てくる黒絵の具だけで描かれた蜘蛛の巣の絵は、十分それを支えるものだと思うのだが……。これ、黒色無双とかで塗装したのかな??
良い面は☆☆☆☆で、残念なところは☆☆、トータルで☆☆☆という感じだ。

以下ネタバレ

最大の問題は、露伴が目にする女の絵がショボいこと。百歩譲って、荒木先生が描いたのなら許せるが、そうでもい、凡庸な怪談テレビドラマに出てくるみたい。
私なら、江戸時代に丹左衛門がこれを描いたというカットを活かすにしても、時代が経つごとに黒く消えて行き、とうとう現代には、作中では外人が模写したものとして出てくる黒一色よ蜘蛛の巣の絵になった、としたほうが効果的だったでしょ? だって、これは黒い絵だけど、丹左衛門の絵は墨絵であって、黒い絵じゃないでしょ(´Д`)
あと、ヘブンズ・ドアーは、自分には書き込めないんじゃいかと思ったのだが、原作にあった展開だった。そもそも、マンガまたは空中に描いたマンガを見て感動したことで発動する能力でしょ?(´Д`) ちょいちょい初期設定忘れるからなぁ(^^;) さらに、物としてのインクで書いてる訳じゃないから、こすっても消えるわけないでしょ。まあ、これは映画版ではスタンドを見せない方針なので、もしマンガなら、スタンドが消しているということなのかもしれないが。