富野由悠季
☆☆☆☆
角川文庫
口絵イラスト目当てに買ったのだが、小林誠のイラストが、記憶が美化されていて、今の私の目で見て全然ダメだった。逆に、本文のほうは、黄金時代の海外SFに比べても引けを取らない完成度であることに驚いた。
少なくとも本巻ではロボットによる戦闘描写がほとんどなく、ほとんどが『2001年』的な、超文明の遺跡の謎と、異種族との衝突に割かれているからだろう。
異種族と書いたが、まったくと言っていいほどにすぎているバッフ・クラン人なので、ちょうど、江戸時代の日本人と西洋人とか、黒人と白人、キリスト教とイスラム教のような、文化的な差異のある人類どうしのメタファーとして描かれているのだ。
もちろん、子供向けテレビアニメとしての制約として、『ガルフォース』ほどの異星人にすることが許されなかったのを逆手に取ったのかもしれないのだが。