思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ガンダム ジ・オリジン(6)』
☆☆☆☆

面白いんだけど、まるで『スターウォーズ3』を観ているかのようだった。要するに、知っている出来事、登場人物が出揃うのを待っているだけ、という前日譚の宿命とも言える問題だ。
安彦監督のコメントで気づいたが、冒頭30分にもおよぶルウム会戦だけでお腹一杯なのは間違いない。『センチネル』からのファンにとっては、カトキ演出による本家ガンダムリファインが完成した、という感慨がある。
その後のドラマパートも、これまでと違って、ファーストへの文字通りの直接的な布石を打つだけなので、退屈さがない。
安彦解説は非常にありがたく、今回も、ギレンの戦況モニタールームの美術設定までカトキデザインであることが分かった。要するに、(どさくさ紛れに?)カトキ絵コンテパートに出てくるものは、ほとんどデザイン/リファインしてしまえ(^_^;)という感じ。
ここまで来ると、戦艦のデザインまでやってほしかったところだが……。ファルメルにはカトキチェックが入っていそうだが。やはり、戦艦にカメラが突っ込んで行くときに、スケール感がないのが残念。そのへんは、逆に手書きである80年代のガイナックス系のアニメとかのほうができていたり。
ザクとかは、完璧なマーキングが入っていて、動きにも重厚感がある。

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GUNDAM

『われらはレギオン(2)』
☆☆☆★

前巻の路線そのままの続きなのだが、これが面白さ半減。
要するに、前巻の面白さは、ボブが死んでエミュレートされたリアクションや逆境(心理的にはそこまで落ち込んではいないが、状況的には最悪。なにしろ死んでるんだから)に負けず奮闘するのが面白かったのだと再認識した。
恒星間惑星探査や、自身のコピーとの対話もその一環(構成要素)に過ぎなかったのだ。
全体的には『スターメイカー』『最後にして最初の人類』を合わせたような感じ。再現なくコピー人格が増えて行くので、カバー裏の登場人物一覧じゃあ足りない……と思ったら巻末にはより詳細な登場人物解説が。……って、いい加減目次つけろよ早川書房
そんな設定だから、ファーストコンタクトどころか、異種族の成長、戦争や人類の衰退や内輪揉め、コンピュータSFまで全部乗せ。
序盤の段階で、設定的な斬新な展開は期待しなくなったが、それでも読ませるのは、そんな要素の豊富さに助けられて(ごまかされて?)いるからか。

われらはレギオン2 アザーズとの遭遇 (ハヤカワ文庫SF)われらはレギオン2 アザーズとの遭遇 (ハヤカワ文庫SF)
デニス・E・テイラー EVILVIT

早川書房 2018-07-05