『機龍警察 狼眼殺手』
☆☆☆☆★
まさかのドラグーンが出てこない話。ロボットアニメ映画なら、プロデューサーにも視聴者にも絶対に許されない内容だが、これが普通以上に面白いから凄い。
今回は、特捜だけでなく殺人等の捜査一課、経済犯罪の二課、さらには公安や国税庁まで巻き込む大スケール。政治、経済、外交、軍事、まで含んだ総合エンターテイメントだ。
伏線を見破ったと思っても、そこに二重三重の思惑が重なっているという、とてつもない三次元的な構成だ。連続予告殺人事件だが、本格ミステリなら反則とも言える展開。それすら、犯人の狡猾さ、強大さを表現するものとなっている。
『パトレイバー2』を麻生幾が書いたら、こんな感じになるのかも…と思ったり。
おまけに銀髪の(美人?)殺人マシーンという萌え要素(私的な妄想の可能性あり)まで入れ込んでいるのだ。
『幽霊なんて怖くない ビブリオバトル部』
☆☆☆★
戦争をテーマにした第2作。変なタイトルは、作中で紹介される某作品に因んだもの。
前巻は連作中編集だったと思うが、今回は大雑把に二回バトルがある二部構成の長編。
前半のテーマは「恐怖」後半は「戦争」。
メインとも言える戦争に関しては、左右どちらにも偏らない、とあるがそれは、左右もれなく触れるというより、真ん中の上下に逃げた、という感じ。政治の延長としての戦争でも、史実としての検証でもなく、あくまでも個人的な視点での戦争体験を色々集めただけ。
右翼(反反日派)としては甚だ不満だが、ただし、左右どちらにも嫌われず、売るための戦略としては妥当ではある。
それでも、『艦これ』から、船じたいへの感情移入と、戦争の入り口としての意義については思わず納得してしまった。