思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

レフト 恐怖物件


☆☆☆★

「呪われた家」もの。主人公はケビン・ベーコン。歳の離れた女優の妻と、娘と、田舎の家にやってきた。よく分からないのだが、どうも夏休みだが、休暇だかで、しばらく滞在するだけらしい。
そこでは何やら怪しい現象が……。そして主人公が心理カウンセラーからの治療の一貫として書いている日記に、知らない間に「you must be left」(違ってたかも)の殴り書きが書かれているのを発見する。原題はこの文章となっている。
超常現象ものなので、起こっていることに理由はなくてもいいのだが、本作はラストま含めて、なんとなくスティーブン・キング的なホラー、という感じ。肝心の家のビジュアルはもうひとつではあるものの、各ショットのルックは格好よく撮られている。
途中で、近くの雑貨屋のオヤジが三角定規をくれて、「直角が大事だ」というあたりは、『ジョジョ』ぽくてニヤリとさせられる。
角部屋の、室内で測った長さのはうが、室外で測った長さより長い、というネタは面白かった。ただし、それが後に繋がらないのは、SF的センス・オブ・ワンダーに欠けるところ。ホラーだからしょうがないけど。

以下ネタバレ

部屋の長さが違うのは、室内の時空が歪んでいることを示唆していた、と取れるし、実際に『インターステラー』ばりにそうなっているのだが、その間を繋ぐ説明的なプロットが欲しかった。
夢に出てきた謎の殺人者が、主人公だった、というのもなんとなく予想の範囲内で、特に驚かなかった。村へ向けて脱出した際に窓に見えた人影も、時空を超えて出てきた主人公。まあ、説明はつくけど、だから何なの? という感じだし。
それよりも、過去に妻を殺した因縁があるわけでもない、どこでもない、この家に囚われる理由がないのが、やっぱり致命的かな。