思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

飛田の子


杉坂圭介
☆☆☆☆
徳間書店

いわゆる飛田新地、知る人ぞ知る(有名な?)大阪の色町である。
そこで「料亭」経営者を数年やっていた作者が、その実態を描いたルポ/エッセイ……かと思ったが、読み進めると、そうではない。これ、ノンフィクション•ノベルやん。
小説の中には、読者の知らない情報を提供して、疑似体験させる、という側面もあるが、本作は、行かずして、花街の裏と表を知ることができる。
映画『最低。』『nude』なんかに近いかも。

「200万円のローンを組まされたそうです。その返済が滞ったため(略)ソープに移籍して二ヶ月で借金は返済でき、いったん店は辞めました。」

借金が返せずにソープに行かざるを得ないが、その後は利子が膨らんで抜け出せない、みたいなイメージがあるが、ちゃんと(?)借金も返せるし、辞めることもできるのか。

「飛田で働いている女の子は、親の借金のためという子もたまにいるけど、ほとんどは自分の物欲のために来てるんや」

飛田新地は(略)160軒近くの料亭がひしめく日本最大級の歓楽街です。(略)阪神甲子園球約2個分です」

「弥生町、若葉町へと続きます。(略)「この辺りに来ると、かわいい子ばかりとは限らんのよ。青春やメインを卒業した30代や、ソープから流れてきた40代、旦那さんが働かん奥さんたちとかも多い。(略)このあたりの相場を説明しました。値段設定は青春通りやメイン通りより安く、30分1万円から1万2000円程度。ハードなサービスがウリで妖怪通りや年金通りと呼ばれています。」

「いわゆる「地雷」です。お金を取ってしまえばもう関係がない、と笑顔を引っ込めてしゃべりもせず、ただ服を脱いで寝てるだけ。美人な子ほど地雷率は高くなる傾向にあります。」