思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

渡瀬謙『内向的人間のリーダーシップにはコツがある』

「スタンスを「指示」から「相談」に変えてみよう」

「ぜひ、部下に対して「意図的に」失敗体験をさせてあげてください。(略)内向的リーダーだった私は(略)部下たちがミスや失敗をしないように、いつも先回りして手を打つようにしていました。(略)ゆえに、部下たちに貴重な(失敗)体験をさせてあげることができなかったのです。」

「最悪のケースを想定して、対処法を準備しておく」

「実際のところ、内向型が考える60点というのは、一般の人に当てはめると70〜80点レベルなので、(略)あなたの慎重な部分はそのまま残して(略)そのうえで、少しだけ合格ラインを下げてみるのです。(略)試してみて、あとで修正すればいい」

「大きなトラブルに見舞われたら、「よし、これでまた自分を鍛えられるぞ」と思って対処してください。」


『硝子のハンマー』
☆☆☆★

タイトルだけのイメージでは、勝手にスカイフックが脳裏に浮かんだのは、『ターンAガンダム』のビジュアルか(^_^;)
もちろん(?)本作はそんなのとは無縁の、物理トリック系本格ミステリである。
見どころは巻末の法月綸太郎との対談で語られている通り。密室を、現代のセキュリティ管理のプロ視点から描いたもの。
その圧倒的な取材の成果は、あたかもクライムノベルのよう。楡修平『朝倉恭介』シリーズのようだ。
さすがにに鉄壁の密室破りものだけあって、読者にはまず真相をイメージすらできないだろう。ほとんど21世紀本格と言っても過言ではない。ただし、その道のプロならではの発想と技術力による犯罪、という点では、北森鴻高橋克彦の美術贋作ものに通じる形式ではある。

「日本の刑務所で、どこか、犯罪を矯正する、しっかりした再教育プログラムを実施しているところがありますか?(略)私の知る限りでは、そんな刑務所は存在しません。(略)当然ながら、誰一人、責任を取りません。だからこそ、これだけ、再犯率が高いんじやないですか?」