思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

さかなのこ

☆☆

予告編を観て、「誰がみるかいこんな映画」と思ったのだが、映画好きの評判がやたら高い。評価が一変したのが居島一平ちゃんとは違い、やっぱりダメなままだった。
冒頭の「男な女かなんてどうでもいい」という筆文字は、島本和彦イズムであるが、私には、単なる言い訳、開き直りにしか思えなかった。
悪者たる不良も、学級新聞を破ったくらいで、いじめるわけでも殴るわけでもない。不良どうしのケンカの演出なんか、コメディというより、幼児向けの教育テレビだ。
アラサーの女が、高校時代の場面では、男子校生を演じているわけだが、『仮面ライダー』でも、ロンゲの男か女かわからんやつが出てくるのを経験してるので、いまどきの(ドラマの中の)若者はこういう髪型してるやつもいる、とすんなり受け入れられた。ここでは、学ラン着てるので、間違いなく男だ。
ところが、大人になってから、幼馴染の不良のフィアンセとレストランで3人で会った際に、フィアンセは怒ったらしく、不意に帰ってしまう。さかなくんが奇人だから、そんか知り合いがいる人とは付き合えない、という解釈もできなくはないが、普通に解釈するなは、仲の良いガールフレンドに腹を立てた、としか見えない。こんなややこしい設定なんだから、ひとことは説明を入れるべきだろう。男として認識しているなら、たんなる友達紹介だから帰る必要ないし、ゲイを疑うほど濃密な描写はないので、問題外だろう。
ちなみに、タイトルの読み方(イントネーション)は、もしかして「おんなのこ」とおなじなのかと考えていたのだが、作中で「さかな」の「子」というイントネーションで言うセリフがあるので、女の子説はより弱くなるんだよなぁ……(´Д`)
社会人として水族館をはじめ、いろんなところで働くが、ことごとくうまく行かない。まあ、ADHDなのでしょうがない、というかそうなるわなぁ、というのストレートに描いているのは、本作で唯一、素直に共感できたシークエンス。
最後は、たまたまフィアンセを紹介した旧友がテレビマンになっていて、番組に出演させてもらえることになった。その後は「みんな知ってるよね」という感じ。あのぶっ飛んだキャラに「引いた」り、私のように嫌悪感を抱いた人のリアクションは描かない。
徹頭徹尾、本作は、「へんなやつ」が、「好きなことを貫いた」ら、「たまたま」世間にも認められて、生きてきけるようになった、という「こどもむけ」教育映画なのだ。教育映画だから、ネガティブな要素は排除されて当然だしね。