思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

クレヨンしんちゃん 大人帝国の逆襲

☆☆☆★

再見。観たのは20年ぶりくらいか。
冒頭の大阪万博の件は、いわばフリとオチ、ボケとツッコミで、本物の大阪万博にタイムスリップしたかと誤認させる演出なのだが、ネタバラシまでが意外と長い。怪獣やウルトラひろしの巨大感も普通の怪獣映画ばりの表現である。
そこから、町中のおとなたちが文字通り、二十世紀(大人帝国)の虜になってしまい、幼児退行して育児放棄(こう書くと凄く怖い)してしまうあたりは、『盗まれた町』や、動物になったりする『カスカベ動物王国』なんかより、見た目が全く変わらないだけに、特に子供にとってはめちゃくちゃ怖いホラー演出であろう。クレしん映画では、サンバのやつがこれと同じ別人格ものの要素だった。
本作が「大人向け」(子供置いてけぼり)であることはとみに指摘されることだが、その問題は於いてといても、本作のアクションシーンである、幼稚園バスでのカーチェイスと、クライマックスの東京タワーのくだりは、普通にいち映画として冗漫だと思う。
逆に、ひろしが覚醒後、『三丁目の夕日』的な景色に惑わされるシーンなんかは、セリフ一言で別シーンに移るという、潔いくらい短く編集している。
本作のクライマックスは、紛れもなくその前の、ひろしが過去を回想した後に洗脳から覚醒するシーン。ここをクライマックスにして、その後すぐにラストシークエンスにすれば良かったんじゃないかなぁ……。
ケンはともかく、チャコがプロ声優じゃない宣伝要因ではないとしたら、あの演技設計だけは相変わらず理解出来なかったわ。
ここまでリアル(?)だと、20世紀博を作った資金はどうしたとか、普段のクレしん映画では気にならないところが気になる(^^;)

以下ネタバレ

ケンとチャコが野望が潰えて自殺しようとした時、しんのすけが「ずるいぞ!」と叫び、ほぼ同時に下にいたハトがバタバタと目の前を横切るシーンは古今東西の実写映画の中でも一二を争う名シーンでしょ!