思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

天国はまだ遠い

☆☆☆★
濱口竜介

いきなり喋らない女がアップになり、AVのモザイク処理を仕事にする男の部屋。
濱口作品共通の、「演じる」というテーマは本作にもあるが、ちょっとメタ的に捻った、あるいはレベルを下げて、演者じたいの「別人に見える演技」を設定している。
これもまた、『ドライブ(略)』と同様に、最後に抱き合うのがわざとらしいというか、作り手(脚本上だけの、あるいは観客に感動させようとする)ご都合主義にしか感じられなかったなぁ。

以下ネタバレ

中編だし、10分くらいで明かされる構成をネタバレというのも行き過ぎだとは思うが。冒頭から出ているカメラ目線の女性。極端にセリフも少ないので、もしかしたらと思ったら、案の定、幽霊だった。ただし、主人公との因縁で憑いているのではなく、地縛霊の側を通りかかったために呪われた(憑かれた)だけ、という。
濱口作品のテーマとしては、主人公の男が、女の幽霊が憑依して喋る、つまりは若い女の演技をする、というのがポイント。
さいきんはオカマの役もよく見るので、それ自体はどうってことない設定だが。濱口作品らしく、それをフィクスで正面から撮り、演技のヘタさを許さないあたりが濱口作品らしい(^^;)