思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『捨てがたき人々』☆☆☆★

観はじめた時にはなぜ録画したのか忘れていたが、どうやら「ジョージ秋山原作」というところだったらしい(^_^;)
とにかく序盤は地味だが、徐々に本性を著してくる。最初は平凡な日常ものに見えたら、突如変貌するあたりは『淵に立つ』『よこがお』みたいな感じだし、途中で純愛、強姦や暴力が出てくるのは『宮本から君へ』とかの雰囲気。全てをさらけ出した体当たり演技、という意味でも両者に通じる。
宗教の影響で主人公を許す顔にあざがあるヒロイン(三輪ひとみ)は、『王立宇宙軍』のリイクニまんまやん?! と思ったが、実は生きるために色々と体を売るなど、もうちょっと生々しい人物。
彼女に限らず、本作ではヒロインの姉、世話になっているおばさん、宗教の幹部で地元の海鮮加工業者社長(この辺がよくわからなかった)の女性社員など、登場人物が軒並みステディではない相手とのセックスに明け暮れている淫蕩な描写が多い。主人公の姉だけは例外だが、ハゲオヤジとは生きるため(生活のための金)だけが目的っぽくも取れる描かれ方をされている。
まあ、原始日本(近代以前)に近い性に奔放な島、ということと、所詮人間セックスと金、という本作のテーマとも関係するのだろうが・・・。
ヒロインは顔にあざがあるせいで、カットによってはホラーの幽霊か怪物のようにも見えるくらいホラー映画のイメージがまだある(^_^;) 彼女はとにかく声がいい。
主人公が、人を殺した過去があるので本土に居られなくなって故郷に戻ってきたらしいこと、仏教の素養がある(親の影響?)以外はほとんど『宮本から君へ』の悪役と同じくらいの暴力とセックスに荒々しいキャラなので、どうにも感情移入しづらい。しなくてもいいが、
どうも終盤に雨の中で更生したらしいのだが、ラストに息子と妻に裏切られたて、「世の中って理不尽・・・」と砂浜を彷徨しても「そんなのお前が悪いんやろ」としか思えないし。
ちなみに、タイトルの意味もよくわからん。
原作者は、こんな人間でも見放せない、人間ってそもそもこんなもんやろ、という人間観だったのかもしれないが・・・。

2014年 日本