思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

空気人形

☆☆☆★

業田良家原作、是枝監督作品。
板尾が文字通りのエア恋人として、会話までしているラブドールが、ある日、何の前触れもきっかけもなく意識を持って動きだした。次第にしゃべり、考え、表情と感情も豊かになって、人間に近づいてゆく彼女だが、空気穴だけはそのままで、空気が抜けたり、また入れる必要があるのは変わらない。
まあ、ちょっとだけしぼんだ感じから、へそにある空気穴口から空気を入れると、クイッと少し起き上がる演技が本作のポイント。主人公の韓国女優の胸と、それを演じるシーン(だけ?)が見どころ。エロチック……といいたいが、淫靡な意味でも、健康的な意味でも、エロさはあんまりない(^^;) このへんは良くも悪くも、監督の資質なのかも。
それを除けば、人形が意識をもって動き出す、というのはSFのみならず、古典から児童絵本まで数限りなく作られてきたテーマなので、あんまり書くほどのものはない。
板尾が準主人公なので、なんか『ごっつ』とか『ビジュアルバム』のコントみたいだった(´Д`)

以下、ネタバレ

ラストでは、ちょっと予想外の幕切れ。
ラブドールはいつかゴミとして捨てられるもの、人間も死んだら燃えるゴミ、という業者の職人(なんとオダギリジョー!)の言葉を間に受けて、恋人(板尾とは別)の男を刺してゴミ袋に入れて捨て、自分も燃えないゴミ捨て場に転がるのだ。
これ、ホラーととる人もいたようだが、心中だよなぁ。
そう考えると、意外と天邪鬼な私には意外で好きなラストだった。