思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『パンドラム』
☆☆☆★

ヘンな映画だ。
恒星間移民船で事故が起こったらしく、目覚めた二人の男が、船内に起こった出来事を探る。
ネタバレなしでバッサリ切り捨てるなら、このジャンルのSFをよく知らないプロデューサーが、「ウケるのはこんな感じでしょ?」とビジュアル的な見せ場だけをつなげた勘違い作品、という感じ。
それぞれの見せ場だけなら、まあ頑張ってるんじゃない? という感じだが、全体を貫く脚本のロジックや絡み合いがバラバラ。
主人公の恋人が実は・・・というのも、引っ張るほどのものでもないし、その意味もない。単に観客を騙すためだけの隠蔽に過ぎない。
まあ、それより酷いのは、地球が消滅したと知ったら、乗員たちが文字通り狂ったように暴走する、という展開だ。これこそSFマインドが全くない製作者の発想。人類が絶滅したなら、なおのこと、残された人類の使命として、移民を成功させる動機が強まった、ということじゃないか!
ちなみに、原子炉の再起動、というのもよくわからん。コンピュータの再起動と間違えてるんじゃないの?

以下、ネタバレ

先に挙げた元ネタになったであろう映画を挙げると、基本設定は『パッセンジャー』、襲ってくるのは『28週後』などのゾンビものと、それらとの襲撃は『エイリアン3』『マッドマックス 怒りのデスロード』、ラストは意味が全く逆だが『ライフ』っぽいビジュアル。とある生き残りのオチは某有名映画から。ラストに、実は、到着してました、というのも今更驚けない設定だよなぁ・・・。深海生命のクリオネっぽいビジュアルは『2010年』・・・は小説版とごっちゃになってたか。