思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ホステル』☆☆☆★

宇多丸師匠が大好きな映画ということで、期待して買ったのだが、ちょっと物足りない。
構造的には『グリーン・インフェルノ』と全く同じ。浮かれて能天気な旅行者が、現地の土着民の強烈すぎる洗礼を受けて次々に命を落として行く、というものだ。
本作を先に見ていたら良かったのだが、逆はいけない。
本作は、まあノワールや香港アクションでよくある、地下の違法コロシアムものみたいな感じ。金を払って、誘拐してきた外人を金持ちの望む方法で殺せる、という施設を描いたもの。
これ、昔レンタルビデオ店でジャケットだけ見たことのある『香港人肉饅頭』か何かでイメージした内容と全く同じ内容やん(^_^;)
容赦なくグロ描写があるのがウリなのだが、こんな獲物が身動きできない状態なんだから、少なくとも主人公3人組のうちの2人が殺されるところは、もっとじっくりねっとり描いても良かったんじゃないかなぁ。その辺が『グリーン・インフェルノ』ではスッキリするのも、評価が伸びなかった要因。
主人公たち3人のうち、生き延びる人がいる(真の主人公がいた?)というのもがっかりなところ。この辺も『グリーン・インフェルノ』と共通。ホラー映画の常道だと、娼館でも女を抱かなかったジョッシュが生き残るんだけど。
組織の人間たちが割と殺されるのは意外と良かったところ。殴られて形が変わって行く頭部なんて、他で見たことがないし。
それにまつわるところでは、子供たちの扱いはうまかった。最初はタカリ、次は邪魔、最後には協力させる、と変わっていくところが。
終盤で、意外と重要な役所であったことが分かるアジア人が、ちゃんと中韓ではなく日本人に見えるのが、さすが三池監督好きでもある(音声解説で言ってる)日本ファンのタランティーノが関わってるだけある。電車で轢かれるところをしっかり描いた映像も初めて見たかも。
正式なタイトルはラストに出るのだが、冒頭には、看板が水面に写った鏡面状態で出ている、という演出もニクイ。