思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

カラーレス(1)

KENT
☆☆☆☆
 リイド社

書店で見て、気になっていたのだが、ジャケ詐欺かな……と訝って手を出していなかったもの。
色のない世界、という設定が面白い。SFファンとしては、本作中での科学的考証は全然だと言わざるを得ないけど(^^;)
ちなみに、太陽フレアによるもの。色が失われたなら、目の色を感じる細胞と遺伝子だけがダメージを受けて、明度を感じる細胞だけになった、とかにすべき。とはいえ、本作では人間は一人ひとり違う怪物に変異する(子供はどうなるんだろう? 両親の形質を受け継ぐのか、まったく別なのか??)とか、色じたいは主人公が研究する中で残っているとか、細部や裏の設定によっては納得できるのかもしれないが……。
なんといっても、ビジュアル的に、モノクロページとみせかけて、時折主人公が使うエネルギー源として緑だけが印刷されるという演出が出色。
世界観そのものは、『銃夢』『ノーガンズ・ライフ』『アップルシード』それにこの前読んだ『装甲なんとかガイスト』とか、要するにスチームパンク系のそれ。世界の秘密、現状を打開する鍵となる少女をめぐる、教団との戦い、おいうベタなもの。まあ、世界設定が複雑なだけにしょうがないか。先に挙げた中では、最初の2つに近いかな。
本作ではデザインが素晴らしく、カバー裏の設定とかを見ると、押井守映画でおなじみの竹内敦志氏っぽい、3Dでモデリングできそうなもの。
マンガとしての絵柄が冬目景っぽい、筆で描いたようなタッチゆえに、デザインのシャープさがスポイルされているのが残念かな。