思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

巨星

ピーター・ワッツ著/嶋田洋一
☆☆☆☆
創元SF文庫

『天使』☆☆☆★
AI搭載の兵器が知性を獲得する? という話。伊藤計画とか、国内ものでもよくある設定。

『遊星からの物体Xの回想』☆
映画を、宇宙人目線で描いた作品。便乗企画アンソロジーとかでよくある感じ。

『神の目』☆☆
飛行機に乗る前のX線検査のかわりに、犯罪をしそうな思考をスキャンできる機械が実用化された世界。ほぼ『マイノリティ・リポート』である。

『乱雲』☆☆☆★
嵐が頻発するというのはパニック映画によくある状況だが、それが知性をもったガイア理論的なバックボーンというのは、斬新なアイデアとまではいかないが、なかなか興味深い。

『肉の言葉』☆☆☆★
ゾンビを使った、死の瞬間の研究。何かの映画であったかなぁ……。たしか映画秘宝の、記事か何かで。

『帰郷』☆☆☆★
深海調査に特化した改造人間。特化したあまり、人間的な精神そのものも消えかけてしまう、というのがSFらしくて良い。

『炎のブランド』☆
大企業や政府の、トラブルシューターの話。

『付属的被害』☆☆☆★
サイボーグ化が進み、思考よりも反射的に正当防衛した結果、戦争犯罪の疑いをかけられた主人公と、弁護士の話。

『ホットショット』☆☆☆★
小惑星を改造した恒星間宇宙船(ガンダムファンなら、アクシズを思い浮かべよう)のためのデザイナーチャイルドの成長を描いた。

『巨星』☆☆☆☆
その恒星間宇宙船が、恒星への衝突の危機に遭遇するが、光速こ数パーセントの速度に達しているため、軌道変更による回避ができず、その惑星である氷の星を使ってその中を突っ切ろうという、『サンダイバー』もビックリのストーリー。

『島』☆☆☆☆
ネタバレにはなるが、ダイソン球のように恒星を覆う細胞膜のような生物からのメッセージをどう解釈するか、ああでもないこうでもないと議論していたら、通り過ぎていた(何せ光速の数パーセントだから)という、肩透かし感もあるが、イーガンやバクスターっぽい風呂敷の話。