思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『図説 吉原入門』永井義男
☆☆☆☆
学研

これを読めば吉原を舞台にした時代小説が書けるんじゃない?というくらい多方面に渡って解説されている。それは地図はもちろん、内部の働き手、出入り業者に至るまで。さらには江戸時代には20回も火災にあった吉原の、仮設店舗の状況にまで及ぶのだ。

「遊女の最高位を表す太夫の呼称は、実際には宝暦(略)のころに消滅している。(略)階級が消えたあと、昼三が最高位の遊女となり」

「遣手(略)遊女を監視・管理する監督係(略)しょっちゅう注意していなければ、遊女や禿はだらしなくなった。」

「初会で冷淡な対応をすれば客に見捨てられ、けっきょく遊女の落ち度になるのだ。(略)花魁は3会目でようやく肌を許すなどは、一種の都市伝説ないし幻想に近いであろう。」