『戦争のはらわた』
☆☆★
押井監督激賞だったので期待していたのだが、個人的には何が面白いのかさっぱり分からない、平日の午後1時にテレビでやっている感じの映画(C級洋画)としか思えなかった。
独ソ戦を扱っているというのが珍しい。オープニングでナチスの記録フィルムをバックに、BGMでは子供が歌う童謡と、勇壮なオーケストラを交互にぶつ切りで流すなど、批判的な言い訳を入れつつ、本編ではドイツのある小隊の戦いを描く。
なんと言ってもドイツの登場人物たちが英語を喋っているのと、出てくるキャストの都合で、どう見てもアメリカとドイツが戦っているようにしか見えなかった。当時は米ソは同盟軍だったが、戦後は敵国となったソ連憎しで、実質的には米ソ対決を描いているようにしか見えない。『戦略大作戦』をもっと泥臭く、リアルにしたテイスト。
ストーリーでは味方に撃たれるなど、米軍を主役にした映画にはあり得ないラストにして、ナチスは悪者だったんですよ、という言い訳を入れている。あとは、女性兵士部隊を登場させるなど、敵がソ連であることをアピールしたり。
原題は『CROSS of IRON』で、このテキトーな邦題は映画の序盤で砲撃で吹っ飛ぶ兵士の腸が飛び出るカットを見て決めたようにしか思えないし。それも、ここからこんなグロいシーンが次々出てくるかといえば、そうでもないし。
ミリオタ的には、前線の舞台設定や、中盤のTー35/84が何台も出てくるシークエンスなどには今見てもどれもジオラマになりそうな臨場感と萌える/燃える作り込みである。
それ以外では、50年前にしては古びていない爆発の迫力。