思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ランボー3 怒りのアフガン

☆☆☆☆

世間的には「しくじり先生」扱いされている本作だが、私は普通に楽しめた。3部作の順番をつけるなら、好きな順に『3』『2』『1』となるくらい。
まあ、これは多分にアクション及びミリオタ視点という偏ったフィルターゆえな気がするけど(^^;)
残念なところは、トラウトマン大佐の位置付け。確かに『1』での、ランボーへの言動とはある意味正反対だが、これはまあ『1』だけがある種の文芸映画路線であり、『2』以降はジャッキーとかノリス的なお気楽アクションへとシフトチェンジしたので、今さら問うまい。
それより、序盤で双方にアフガンで捕虜になったり、救出しても、年老いたとはいえ、現役の軍人にしてあまりに鈍重なのが気になる。なんか『裸の銃を持つ男』のレスリー・ニールセンみたい(´Д`)
冒頭で、ランボーがタイらしきところで地下賭け格闘技をやってるのは、やさぐれ(おちぶれ)た戦士の定番表現なのだろうか。この時点では、『3』つながりというわけじゃないけど、『マッドマッマクス サンダードーム』の悲劇か? と危惧したのだが、ここからは上がる一方で良かった。
アフガンに赴いたランボーは、現地の協力者のツテで武器を取り寄せ、アルジャジーラだかタリバンの村で、潜入するための、情報収集する。ここでガキが出てくるので嫌な予感がしたが、案の定、「ついて来んな」と言ったのに、勝手に着いてきて、言わんこっちゃない、負傷して足を引っ張ることになる。こいつがいなければ、ランボーも脇腹をやられることなかったんじゃないかなぁ。
アメリカがアルジャジーラを支援したから、後にビンラディンを産み、911テロを引き起こす、自業自得だという非難があるが、井沢元彦的に、当時の人の立場で考えれば、冷戦真っ最中、ソ連という当面の敵を倒すために、現地のゲリラと共闘するのは、当然の選択である。やってることは、『最後の戦場』と一緒。
ソ連のほうは、アフガン人のセリフで、虐殺、強姦などが出てくるが、直接の描写はない。ソ連軍が武装ヘリで現地ゲリラの村(それはつまりランボーが侵入作戦を練っている村である)を襲って、大量の犠牲者を出すことくらい。おとは、捕らえたトラウトマンやアフガンゲリラを拷問してアメリカの軍の情報を吐かせようとしているくらい。その拷問も、腕を縛り上げたり、電気椅子、殴るくらいで、『2』と比べても穏当な感じ。火炎放射器は、見せるだけで、捕虜に対して使っているところは見せないし。
ランボーは、首が顔より太く、体型はまんま実写版『北斗の拳』である。ラジー賞で最低主演男優賞となっているらしいが、本作はメチャ頑張っている。アクションはもとより、脇腹に刺さったトゲを抜くシーンは、押し出すだけでなく、抜けた棒の先端を平らにして、中に入っている棒を押し出す、水で洗う、おまけに燃える小枝を突き刺して殺菌する、という執拗な、先に挙げた拷問シーンがあったとしても、それを上回る凄まじいもので、これだけで普通のスプラッター映画そこのけ(^_^;)
地下洞窟に降りてゆくところからのシークエンスは、まさかの今年に作られた『デューン砂の惑星』でオマージュされてたと言っていいんじゃないの? 青いサイリウムの使い方も手榴弾につながったトラップだったり、矢につけて、敵に刺さったやつを敵がランボーだと誤認してそちらを撃ったり、工夫を凝らされている。
ミリオタ的には、やはりソ連のヘリが3種類出てくるのが見どころ。序盤から、たっぷり登場する。ラスボスが乗るやつも、『怒りの脱出』と似ているようで、違うタイプ。どれも逆V字のスタブウイングなので、一見同じに見えるが。
ラストにランボーが小隊規模のソ連軍地上部隊に突進してゆくところはちょっとどうかと思うが。そもそもアフガンゲリラは騎馬隊なんだから、トラックの機関砲のみならず、シルカから戦車から攻撃ヘリまでいる正規軍では鎧袖一触でしょ。あれでゲリラが勝つ、というのはミリオタ的には看過できないけど、ランボーの勢いで「まあいいか」となってしまう(^_^;) ランボーが一人でTー62らしき戦車(砲塔リングが腰高なので、何か西側車両の改造なのかも)を操縦しながら射撃して、それと攻撃ヘリが激突する、というのもあり得ない。けど、この時代のアクション映画って(良くも悪くも)こんなもんでしょ? と思ってしまう。

1988年 アメリ