『サリーはわが恋人』
☆☆☆★
短編集。
『正義の名のもとに』☆☆☆
〈ファウンデーション〉シリーズっぽい構成。知人ながら、権力者と、レジスタンスに分かれた2つの運命を描く。
『もし万一……』☆☆
もし○○だったら…というパラレルワールドを見せてくれるという、「少し不思議」系の物語。ほぼ幻想文学か、広義のミステリー。
『サリーはわが恋人』☆☆☆
人工知能搭載の車の名前がサリーだが、事実上、ロボットもの。あからさまに、陽電子エンジンとか出てくるし。ただ、ロボットものでは定番の、三原則逆手に取ったどんでん返しがないぶん、物足りない。
『蠅』☆
まえがきで注意喚起してくれている通り、オマージュ元である『リア王』を知らないので、よくわからなかった(^^;)
『ここにいるのは−−』☆☆☆
人工知能と、チューリング・テストを、ちょっといい話に仕立てたもの。まえがきにある通り、これなら主人公がイケメンでもキザには映らない。
『こんなにいい日なんだから』☆★
54年なので、藤子不二雄のどこでもドアとどちらが先かな? というどこでもドアというか、目的地が設置済みのドアに限定されたタイプのドアが普及した、すこし不思議世界で、外出する少年を描いた小品。
『スト破り』☆☆
職業差別、人種差別を扱ったもの。長編の導入として使われるくらいのネタであって、これ単独だと、短編としても物足りない。
『つまみAを穴Bにさしこむこと』☆☆☆
工場で働く人をテーマにしたお笑いコントみたいな話。それも、DVDで売るレベルではなく、テレビ番組のCM前のショートショートくらいの。
『当世風の魔法使い』☆☆
これまた『魔法使い』という元ネタがある。これまた、完全に子供向けでありがちな、元を断てば混乱が全て戻る(戦隊モノみたいな御都合主義の)タイプの、惚れ薬の話。
『四代先までも』☆
謎を隠すことで謎を作っているタイプのサスペンス映画みたいな話だが、はっきり言ってよく分からなかった(^^;)
『この愛と呼ばれるものはなにか』☆☆
エイリアンまたはUFOによるアブダプションで、セックスさせられた、という(ヨタ)話はチョイチョイ聞くが、それをエイリアン視点で描いたもの。オチは、あり得ないとみるか、都合良すぎると見るか…。
『戦争に勝った機械』☆☆★
61年に書かれた小説だが、どうみても戦前じゃない? というくらい古くさいアイデア。まあ、コンピュータの発明にヒントを得たものではあるが…。
『息子は物理学者』☆☆
これは、男が、科学的目線で女性のいち側面を評したもの。
『目は見るばかりが能じゃない』☆☆☆☆
一転して、現代のSF新人作家の作品と言ってもおかしくない内容。最初は状況が見えないが、徐々に、遠未来の話だと分かる構成も面白い。
『人種差別主義者』☆☆☆★
これも、確かにどうってことないアイデアで、ロボットもの長編の中の、たわいない会話の一つとして流される程度、とも言えるが、元祖であるアシモフの短編なので、これでいいのだ。