思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『楽園追放』

『楽園追放』☆☆☆★

未来の冒険SFかと思いきや、未来は未来でも、サイバーロボットアクションだった。
イントロでは、金髪巨乳美女が出てきて、「あれ?作品を間違えたかな?」と心配になるが、これは電脳空間に移住した主人公のいわばアバター。ややこしいことに、彼女が特命を帯びて外宇宙入植惑星を調査するための現実の肉体を作ったが、時間が足りなかったので、まだ成長しきっていない、というのがメインビジュアルの彼女なのだ。「見かけは子供、中身は大人」だが、それが全然と言っていいほど感じられないのが最大の問題かも。冒頭に大人としてのビジュアルと演技が出てくるにも関わらず、だ。電脳人類という設定を活かすのに、もっと多種多様なボディやアバターに乗り換えるストーリーがあっても良かった。
結果から言えば、アヴァンの大人姿はおまけみたいなものだった。別にただのツンデレ少女ものにしていてても良かったのに。むしろ、最初にツンデレ少女主人公ありきで、大人アバターは後付けじゃないだろうか。

「SFは絵」と言われるが、本作のビジュアルは、オリジナル作品としては及第点。メインビジュアルに出ているロボットは、球が変形したものだと分からないくらい格好良い(実写『トランスフォーマー』みたい)。そのバイク型のコックピットは、シートベルトもないし、リアリティはないが、やろうとする雰囲気は分からなくはない。ただ、エヴァンゲリオンのコックピットっぽくしたい、というのがバレバレなのが恥ずかしいかも。

本作の最大の魅力は、主人公が可愛いこと(^_^;)
全身に散らばった緑のクリアパーツに意味がないとか、せっかく大人アバターに対する未成熟ボディという設定なのに巨乳だとか、おかしいポイントもあるが、顔とロングヘアだけでもう許す( ´Д`)ほんとは、こちらも大人アバターがロングヘアなんだから、記号としてもショートヘアとまでは行かずとも、短めにすべきなんだけどね。あと、素晴らしいのが髪の色。4段階くらいの黄色だが、影に補色的に緑かかった色が使われている。これが生理的に気持ちいい。色彩設定の人の素晴らしい仕事だ。これだけでも本作を観た価値はあったかな。
中盤から出てくるサポートロボ(人工知能)が、帽子をかぶっているのだが(帽子つきのデザインではなく、かぶるシーンまである)、てっきり帽子形のセンサーか何かだと思っていたら、ラストで主人公の相棒の男がそれを拾ってかぶる。布の帽子だったのね(・。・)そんな柔らかさは感じられなかったけど。
ちなみに、それ以外の宇宙船や主人公の上司(ボス)のデザインは、オリジナリティも洗練度も、もうひとつだった。

チョイ役の声優がやたら豪華なのも驚き。アヴァンの古谷徹、クライマックスの追手に林原めぐみ高山みなみ他、知名度と登場時間の反比例っぷりは、友情出演と言っていいギャップ。
戦闘シーンは板野一郎が監修(監督?)していることもあり、一見では何が起こっているか分からないスピーディーさだ。

けっこうな(製作サイドからすると)力作だったと思ったが、YouTubeにはレビュー動画が1つもなかった(^_^;) 特集していたのは「SFマガジン」だけだった?