思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ドラゴン×マッハ!』
☆☆★

邦題からは、燃えるバトルものを期待させるのに、内容は難病もの!( ´Д`)
原題は『SPLなんとか』で、『SPL狼よ静かに死ね』の続編なのだ。そうと知れば、やたらヘビーな展開も納得なのだが……。 白血病で余命僅かのマッハ(トニー・ジャー。役名は忘れた(^_^;))が、骨髄移植のドナーとして突き止めたのがドラゴン(ウー・ジン)。ところが彼は麻薬潜入捜査の過程で薬物中毒に。誤解と悪の組織の陰謀で刑務所行きに。そこで刑務官をしていたのがマッハ。ところが、彼はドラゴンがドナーであるとは知らない。携帯を落として知らない人が拾って、話が通じない、という古典的ドタバタ。
とにかく本作は、マッハ側で娘と刑務所長の3つ、ドラゴン側で彼のボスそして悪の組織の病を患っているボスの3つ、さらにドラゴンの携帯を拾った漁師と、分岐が多く、舞台も香港とタイが行ったり来たりするので、とにかくややこしい。クラマックスでマッハとドラゴンが共闘中でも3ルートが同時進行なのだ。3ルート以上のクラマックスの映画にろくなものがないのは周知の通り(^_^;)
アクションものとしても、マッハとドラゴンが全力で共闘するのはラスト5分くらい。おまけにラスボスはなかなか手強く、カタルシスはなかなか得られない。ラスボス役は『パシリム2』の長官役の、やたら姿勢がいい人。
主人公を追い込むだけ追い込むのが脚本の王道とはいえ、本作のドラゴンの追い込まれ方は尋常ではない。捜査の必要に迫られ(?)麻薬中毒になるわ、刑務所に入れられるわ、自分で胸を刺すわ、ボスは殺されかかるわ脱出のために手錠を外すべく万力で手を砕くわ……(@_@;)
これでラストバトルのカタルシス(ラスボスが惨めに叩きのめされて行く)さえあれば……。
アクション面ではドラゴンのほうはスカッとする見せ場が少なく、マッハのほうが堪能できる。

『狙撃兵ローザ・シャーニャ ナチスと戦った女性兵士』秋元健治
☆☆☆
現代書館
意外にも翻訳ではなく日本人が書いたもの。巻末にはノンフィクション・ノベル的な断りがあるが、ある程度本を読みなれた人なら、ノンフィクション部分と小説部分の差は一目で分かる。小説部分は、歴史資料の取材と収録されている日記を元に想像したもので、読み飛ばしても問題ない。テレビの再現VTRみたいなもの。
本書で知りたかったソ連の女性兵士は、いちおう共産主義的には男女問わず志願兵を募って、兵学校もあったということで納得。衛生兵だけでなく、女性だけの部隊だけでなく、男女混じった部隊もあったらしい。進歩的……(・。・)とはいえ、命令なく女兵士を庇ったり、色恋沙汰もあったらしい。
タイトルでも内容でも独ソ戦にしか触れていないが、他の戦線にも女性兵士はいたんじゃないかなぁ……。中には日本軍と戦った者も……?


『「頑張らない」から上手くいく』桜井章一
☆☆☆★
講談社

あの麻雀鬼は、今は麻雀を通じて子供たちを教育する私塾を開いている。そんな彼の子育ての心構え、子供との向き合い方を書いたもの。
夜回り先生だったか、優等生的ではなく、世間的には悪の道に入った人の方が、真の教育が分かることがあるが、著者もそのタイプか。
「知恵というのは、読んで字のごとく、「恵みを知る」ものです。つまり、知恵をつけるには、まず恵まれていることに気づき、それに感謝しなければならないのです。」

「「嘘をついて得をした」と思っている時は「それは違うよ」と言ってやるよりも、「嘘をついて得はしない」(略)嘘が嘘を呼び、やがてそれは取り返しのつかない大きな嘘になる。そうなればしっぺ返しが来る、結局は損をするということを気づかせてやることが大切なのです。」

「人は生きている限り、誰かに迷惑をかけるということを消すことはできません。(略)「人に迷惑をかけるな」ということよりも、「人に迷惑をかけられた時にどう対処するか」という観念を持ったほうが人は前向きに生きていけます。」