思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ロボコップ
☆☆☆★

だいぶ前に見たリメイク前よりは、妻子との関係が前面に出ているかな?
警官というよりは、ロボソルジャー(兵士)か、ターミネーターみたいな話になっている。サミュエル・ジャクソン演じる右翼テレビなどは『スターシップ・トルーパーズ』を彷彿させるし。
事故で、頭部から胸までと、何故か手首だけが生身で、それ以外は全身サイボーグ化。生身だけのビジュアルが強烈。しかし、そうでなければ生存できない、と負傷状況がモニターされていたが、そこにあった左目は義眼であるとは描写されていなかったり、中途半端な部分も。
ネットワークで万歳履歴を検索したり、視線を遠隔モニターしたりと、現代的なアップデートも。
医学博士が味方になり
、軍事顧問が敵になる、など要素を複雑にする必要があるかどうかは疑問だが、全体的にはそれなりに盛り上がる。
ロボコップを作った軍産複合体の社長が、最初から悪巧み、または金儲けしか考えていないように見えるのがはいかがなものかな……。最初は純粋にアメリカの治安をよくしたい、という社会奉仕的なスタンスを前面に出していたほうが良かった(社長サイドの視点を入れず、主人公が負傷したところから始める)のでは?
リメイク前では、ラスボスだった二脚歩行ロボが、ドロイデカ扱いで、アンドロイドが普通にいる、というのもアンバランスな感じ。
……あ、要するに『サイボーグ009』的なのに、物語的なテーマがそうなっていないのが問題なのか?

ロボコップ [Blu-ray]ロボコップ [Blu-ray]

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2015-03-20

『銀河の中心に潜むもの』岡朋治
☆☆☆☆
SFっぽいタイトルだが、日本の研究者による、中規模ブラックホール発見までのノンフィクション。問題は、注釈が専門用語満載で、注釈の注釈が必要なこと。巻末に用語解説が必要なレベル。

銀河の中心に潜むもの:ブラックホールと重力波の謎にいどむ銀河の中心に潜むもの:ブラックホールと重力波の謎にいどむ
岡 朋治

慶應義塾大学出版会 2018-01-23


『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』
☆☆☆★
中間をとってこの評価だが、☆☆とも☆☆☆☆☆とも言える。
よく言えば、『ジョジョ』4部をラノベ的にノベライズした感じ。セリフから、不条理的な言動、サイコおよびホラー描写など、驚くほど荒木節。人間消失トリックなんてのもあるが、これまた『ビーティー』なんかを彷彿させる。
減点要因は、全体としてはミステリーではなく、純文学的なオチで、論理的な伏線回収によるカタルシスがないこと。タイトルも正しくは『砂糖菓子の弾丸では撃ち抜けない』か『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜かない』でしょ?

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
桜庭 一樹

角川グループパブリッシング 2009-02-25