思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『かわいい毒草』
☆☆☆★

刑務所から出てきた前科者で、保護観察中の主人公(日本でもアメリカでもほぼ同じ制度だと考えていいのかな?)。工場で働くものの、廃液によって川が汚染されるのを気に病んで、煙突に破壊工作を行うことになる。
このあたりのぶっ飛び具合や、恋人につく「自分はCIAの秘密工作員だ」という妄想など、嘘ばかりの主人公には全く共感できない。終盤で、刑務所行きの原因が、叔母に怒られた腹いせに家に放火して叔母が焼け死んだことが明かされるが、これも主人公が言うように「叔母が在宅だとは思わなかった」とは信用できない。
かと思いきや、恋人のほうも、破壊工作に荷担するあたりから明らかになる通り、天然の悪女。
まあ、普通に、登場人物の誰かに感情移入するドラマとしては楽しめない。かといって、「謎とどんでん返しがありますよ」と断ってから観るのも、その驚きをそぐし、難儀な作品だ。「ミステリー」要素がありますよ、くらいが妥当なのかな……。
そういう意味では、町山さんの前後の解説は満点では?