思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『10月1日では遅すぎる』フレッド・ホイル著/伊藤典夫
☆☆☆★
早川文庫SF

さすがの名訳。
中盤までは、名文と意外な展開とSF的なアイデアで面白い。
後半は、紀元前のギリシアに、音楽家である主人公がピアノを持って乗り込んで行く顛末が描かれる。これもあまりない設定で、音楽小説として面白いが、このエピソードが結末と何の関係もない、ある種の夢オチ的な扱いになっているのが残念。要するに、ギリシア編をスッパリ切っても成立する。つまりは中編を水増ししたことがバレバレ。
太陽からの謎の電波の正体など、前半だけなら充分☆☆☆☆だったのになぁ……。B級映画みたいなオチは☆☆★レベルなのが残念。