思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ』藤井聡
☆☆☆★
幻冬舎新書

言いたいことは分かるのだが、商売の心得や、道徳・公共心の大切さだけを書いた本ではなく、非科学的な学問分野である(別にけなしているわけではなく、理系ではなく文系、というレベルの)社会科学として書かれている為の「本当にそうか?」という論理の飛躍またはけんきょうふかい的なところが気になる。

純粋に科学的に納得できたのが、「共有地の悲劇」の現代日本の実例としてのタクシー規制緩和
逆に、透明性、暴露原理については、科学的には到底納得できない(道徳的、商道徳的にはよく分かるのだが)。西武開拓時代のエピソードも、具体的な実例がひとつもないので、これでは懐疑派(利己主義者?)を納得させることはできないだろう。

なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ (幻冬舎新書)なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ (幻冬舎新書)
藤井 聡

幻冬舎 2009-07-01