『星系出雲の兵站(1)』
☆☆☆☆★
「このスパイ衛星のコンポーネントに、我々が活用しているようなものはほとんどありません。ネジさえこの衛星には見当たらない。
にもかかわらず、我々は、つまり人類は、その機能や原理を解析できる。言い換えれば、見慣れない機構はあっても、未知の機構はない。」
これこれ、これこそハードSF的ファーストコンタクトものの醍醐味にして真骨頂!
「平時から戦時への宣言を誰がどう行うのか?(略)それについての明確な規定がない。
先人たちは規定を厳格化しすぎて、有事に即応できないことを避けるために、あえて規定を曖昧にし、緊急避難的に対応する余地を残したのである。」
わが国の有事法制の不備への指摘とともに、またそれを逆手にとる方法を示唆。
「減価償却やら消耗品費の数字をドガチャカァ、ドガチャカァやれば」
なんと上方落語『』のネタ(^_^;)
「レーザーレーダーで観測すれば(略)砲戦距離一万2000キロという、通常の軍艦では不可能な遠距離からのレーザー砲撃を行った。」
先輩たる谷甲州『砲戦距離一万2000』へのオマージュか。
「死体が爆弾の可能性もあり、また微生物やウイルスの感染についても安全が確認できない以上、人間が接触するわけにはいかない」
映画などに限らず、多くのハードSFとされる小説でも見過ごされてきた問題だ。
星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA) 林 譲治 Rey.Hori 早川書房 2018-08-21 |