思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『こうすれば絶対良くなる! 日本経済』田原総一朗藤井聡
☆☆☆☆
アスコム

藤井さんの主張自体は知っているのだが、ある意味では現在の日本の世論そのものと言っても過言ではない、田原さんを説得できるかどうかに関心があった。
読んでみると、田原さんが持ち前の鋭い切り込みで、藤井さんだけなら言葉を濁すところを追求しているのが意外に良かった。

「田原 謎なんていったってダメだ! あなた、当時いたじゃないか。
藤井 では、じかに説明を受けたわけではないので、あくまでも内部にいた僕の感触という前提で申し上げますと、一言でいって安倍さんは、”財務省の圧力”に負けたんです。」

「田原 世界の常識は、企業が本社機能を海外に移さないように法人税を減税する。だから安倍もトランプも減税した。これは間違い?
藤井 間違いです。ここでもまた、常識が間違っているんです。なぜ、そんなデマがはびこるか? 大企業がそう主張すれば、実際に法人税率が減って得だからです。」

「田原 麻生太郎と日本国民を天秤にかけた結果、国民の経済を破壊してもいいから麻生を内閣に残したかった?」

最後のこれは重要なところ。
推理するに、財務官僚の文書改竄にまつわるポカで、責任を取って辞任するはずだった麻生を慰留させた経緯だ。
安倍首相は、麻生とのコンビで長期政権として改憲をするつもりだったのかもしれないが、それによって麻生が完全に財務官僚に洗脳されてしまった。
おかげで、ヤクザと同様に、貸を作ったつもりが、それをネタに脅される。
または庇を貸して母屋を取られる結果に。
日本を取り戻すことも、経済再生も、改憲も、何一つできない。日本を衰退させた(どう衰退させたのかは、本書に詳しく書かれている)だけの最悪の結果になったのだ。