思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『FSSデザインズ(4)』
☆☆☆★

再読。
改めて読むと、ちょっとだけ評価が上がった。というより、永野ファンなら、興味深い発見があった、というべきだろう。
まず、改めて思い知らされる、ゴティックメードのデザインの凄まじさ。これは、単に見た目だけではなく、巨大ロボットが可動するためには、どういう構造であるべきか、ゼロから考えたものだ。そこから生まれるのは、アシモとか工業ロボットのような機能美だ。そこが顕著なのは、ユーレイの腕関節が伸びきっているあたり。これと分解図をあわせると、なんとなくは動きが想像できる。
ただし、カトキハジメが描く設定画みたいに、可動範囲を図示したりしてくれないので、それだけでは分からない。映画『ゴティックメード』と合わせないと難しい。ソフト化されていないのでなおさら厳しい。
映画のために思いついたであろう詩女の膨大な設定は、本編のメインのひとつであるフィルモアと密接に関連するらしいので、ファンなら読むべき内容だった。
さらに今回最大の発見は、ゴティックメードの体型に合わせてファティマの体型も変更された、と書いてあるところ。言われてみれば、確かに首と胴が長くなってる(・o・)
ファティマスーツまで半透明にしてるのは、単純にイラストを描く自分の首(だけ)を絞めてるだけでは?
半透明装甲のロボットはクリアパーツで再現できるが、フィギュアではほとんど無理だろうから。1/6くらいならなんとかそれっぽくなるかもしれないが、作れるメーカーはほとんどないだろう。
異世界なのに英語がどうとかドイツ語読みがどうとかツッコムのも無意味。設定・解説というより作者の駄文とみるべき。
それよりも、解説に「現在」とか書かれているのが気になる。時空が自在に移る作品において、現在の意味はない。本作は「キャラクターズ」でもあると位置付けられているが、やはり確定設定というより、ムック的な「キャラクターズ」の色が強い本である。

F.S.S. DESIGNS 4 覇者の贈り物F.S.S. DESIGNS 4 覇者の贈り物
永野 護

KADOKAWA/角川書店 2014-03-10