思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『まけた側の良兵器集2』
☆☆☆☆★

図解ってどこから読めばいいのか迷う。
いや、こういうのは一読だけでなく、何度もなめるように見るべきものだ。
零戦大和ミュージアムで見たが、はっきり言って写真やそれよりもこのイラストのほうが格好良い!これは全てのメカに言えるかも(写真すら見たことないものが殆どだから知らんけど)。デフォルメ(美化)というより、著書の愛が詰まっているのだ。

あとがきにあるように、本書では同人誌に発表されたものはなく、純粋に商業誌用のもののみ。濃度は若干低めだが、文章や内容とも整理されていて、見やすくなっている。とはいえ、図説は見開きなので、肝心のブツの中心部が閉じ目になっているのが最大の問題点。掲載誌は中綴じ(ホチキス止めで完全に開ける)タイプ?それなら良いが、皿綴じ(ジャンプみたいなやつ)だと、結局真ん中が見えない。これは最大の問題では?
判型が大きくなっているのはイラスト中心の本書にはありがたいが。

どれも魅力にあふれているのだが、とりあえず印象深かったものを。
戦艦・長門:上部構造(艦橋)を超絶的に描きこんでいるのが凄い。
駆逐艦・秋月:個人的にはまったくピンとこなかったのだが、これを見て魅力の一端が分かった。
陸上哨戒機・東海:解説を読むと、哨戒機の最大の特徴である、コックピット視点から下部視界がどう見えるのかが非常に気になったのだが、それはなし。資料がなかった為?
九四式37mm速射砲:ノモンハンでのダメダメっぷり(それ自体知らなかったのだが)は、性能の不足ではなく、至近距離まで引きつけて徹甲弾をぶっ放したらソ連戦車を貫通した(!)という運用の問題だった、というのが凄い。
九八式臼砲:人力で分解・設置できる移動砲台、という冗談みたいなトンデモ兵器。設計のみではなく、フィリピンや硫黄島っで実際に使われた、というからなお驚く。
ヘッツァー:日本軍兵器のみの中で、なぜかこれだけドイツ戦車が…なぜなぜ??

まけた側の良兵器集IIまけた側の良兵器集II
こがしゅうと

イカロス出版 2012-09-03