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『マッカンドルー航宙記　太陽レンズの彼方へ』
☆☆☆★

確かにハードSF的な設定は出てくるのだが、謎がハードSF的に最後に明らかになって物語が決着する純粋なハードSFは『母来る』くらいしかない。
作者の解説で触れてあるようにハードSFではないSFサスペンスである『新たなる保存則』は論外としても、あとの２つも、興味深いハードSF的設定・アイデアこそ提示され、その片鱗は描かれるが、物語と直接関わりのない情景描写的な扱いに留まっているのがなんとも惜しい。これはこのシリーズ全体に言えることだが。
『影のダークマター』☆☆☆
肝心のダークマターが顔見せだけで終わってしまうのが難点。ジーリークロニクルのような話でのファーストコンタクトものが読みたかったのに。

『新たなる保存則』☆☆★
舞台設定を除けば、SFとは無関係な三流ヤクザもののような監禁・脱出話。

『太陽レンズの彼方へ』☆☆☆
小惑星宇宙船に芽生えたAIとの戦いという、設定・ストーリーともに実に後期ホーガン的な内容。

『母来る』☆☆☆☆
超高密度物質の挙動が、ファンタジーとハードSFの両方の良さを併せ持った作品。序盤の母親とのドタバタ的やりとりがなければ、SF的にはなお良かったのだが。