思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『シェイファー・ハウンド(4)』
☆☆☆☆

この巻は新キャラであるイギリス特殊部隊が主役状態になっている。その隊長は、後ろ姿はブロンドの超ロングヘアだが、顔面は『暗殺教室』か『ぼくらの』みたいなシンプル凶悪フェイス。
ユートの部下でティーゲル(タイガー戦車)を修理に持ってきた三名は敢えなく戦死。直接は描かれたなかった(1巻とかで一般庶民では描いていたから、差別せず描いてもいいと思うのだが…)が、強姦してから殺した上、見せしめとして吊してある。これがフィクションだけでなく、現実の第二次大戦の日常であるから恐ろしいのだが…。
メンテナンスの重要性を、戦車や銃器の図解マニュアル並みに丁寧に描いたエピソードなどもマニアックで良い。
巻末には再び読み切りが掲載。男版の『シェイファー・ハウンド』である。読み切りだけあって、パンターティーガー2に列車砲(装甲列車?)など、盛りだくさんである。これを読むと、野郎ばかりでも勿論格好良いのだが、女だらせの本編を読んでしまうと、やはりキャッチーさに欠けるかなぁ…。
その意味では、女性キャラの生産性の高さもなかなかのものだ。ちゃんと区別がつく(歳のせいか、覚えられないが(^_^;))のがエライ。
読み切りのほうは、時間をかけられたせいか、二両とも、各パーツのディテールはもちろん、なんとツェメリット・コーティングまで手書きできっちり描き込まれている力作!


銭ゲバ(下)』
☆☆☆★

政治家進出の動機が弱い(金儲けのどうしようもない障害や妨害に遭った、とかではない)のと、そもそもどういう手法で大企業経営の才能を発揮したのかが不明なのが気になる。が、まあ特に後者はビジネスマンガではないので突っ込むのは野暮というものか。
結局は金を得ても真の幸せはないことを悟る、という当たり前の結論なのが残念。単純に、連載を終わらせるためのいちアイデアに過ぎなかった感じだ。
もし、私がリメイクするなら、ある善良な政治家が自殺したところから始め、十年前、十年前、と次第に遡って描いて行く構成にするなあ。最後が、冒頭に描かれた最初に隣人を殺して埋めた場面で締める。
無駄ゴマを減らせばページ数も三分の一で済むだろう。