思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

七人のイヴ(上)

ニール・スティーヴンスン著/日暮雅通
☆☆☆★
ハヤカワ文庫SF

物語開始と同時に、月が7つに割れる。『ムーン・ロスト』と『シン・ゴジラ』を合わせたような展開だ。
その原因は、原始マイクロブラックホールらしいとは軽く触れられるが、基本的には、起こったことに対処する、というスタイル。
その後、どうなるかが、ハードSF、そして政治的に描かれる。後期ホーガンや、『日本沈没 第二部』のような展開。ハードSF部分は、好きな人にはたまらない描写だが、ポリティカル・フィクション部分は鬱陶しい。中盤を過ぎると、その部分は分かるようにたるので、そのへんは速読みして良いだろう。
純粋に、月が砕けたらどうなるか、という描写だけでも読む価値はある。特に月のかけらの衝突ご指数関数的に増大し、最後には地球に降り注ぐ『ハード・レイン』は、『ディープ・インパクト』ばり。文字通り赤く燃える地球は見たこと(読んだこと)のないものだ。
また、地球が、壊滅した時に、国際宇宙ステーションノアの方舟になる、というのもSF的にリアルで良い。