思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『超精密「3D CG」シリーズ ドイツ戦車』
☆☆☆

ドイツ戦車の解説本というより、第二次大戦のドイツの各戦場でのドイツ戦車の活躍を紹介した本、という感じ。各作戦の概説と戦車の紹介が6:4くらいの割合である。
CGで再現されていると、どうにもペラペラ感があるのはなぜだろう?
人間でいうところの「不気味の谷」みたいなものだろうか。これなら巧い人のプラモの作例のほうがよほどリアルに感じるのだ。
とりあえず、第二次大戦のドイツ戦車の概要を掴む、という意味においては役に立ったが。

ドイツ戦車 World War II (双葉社スーパームック 超精密「3D CG」シリーズ)ドイツ戦車 World War II (双葉社スーパームック 超精密「3D CG」シリーズ)
小林 克美

双葉社 2002-07


『冷たい方程式』
☆☆★
ハヤカワ文庫

『徘徊許可証』☆☆☆
数百年間辺境に取り残された惑星で素朴に暮らしていた村人が、地球帝国からの調査団に右往左往する。彼らが文献から知って、体裁を整えようとしたのが、なんと刑務所と犯罪者、というお笑いコントか、落語そのものの話だ。

『ランデブー』☆☆☆
旅先の船で会った、飛行機が嫌いな老婆。彼女の亡き夫が戦争中、飛行機で死んだ後に約束を破って再婚したことで、上空では幽霊となって呪われるのを避けるため、という(文中ではこういう表現ではないが)。
ラストで、彼女は死んでしまうのだが、実は舞台は未来で、彼女が泊まっていたのは当時の飛行機が飛んでいた高度までの高層ホテルでした、というオチ。

『ふるさと遠く』☆☆
子どもがプールにふるさとで見ていた鯨を呼び出すというショートショート

『信念』☆☆☆★
さすがはアシモフ。抜群の会話文の面白さとリーダビリティ!なぜか空中浮遊の能力というか体質になった大学教授が、自らを認めさせるために悪戦苦闘するドタバタコメディ話。

『冷たい方程式』☆☆☆
一言で言えば、発見した宇宙船の密航者を放逐(船外遺棄/殺す)というだけのプロット。現実的に考えれば、いくら特殊船でも、そこまでギリギリの燃料しか積んでないってことはないだろうが。
いわゆるカルネアデスの船、遭難船もの、を宇宙船に置き換えたものだが、宇宙船のほうが物理学的な計算によって未来が確実に分かる、というのが大きな違いで、それがうまいタイトルの由来にもなっている。帝国軍の特攻機じゃあるまいし。その不条理をグダグダと小説として描いたからこそ名作たりえているのだろうが。『自転車泥棒』とかのヨーロッパ映を連想した。画

『みにくい妹』☆★
シンデレラは実は性悪女でした、という後日談的なブラックユーモアもの。これのどこがSFなの?

『オッディとイド』☆☆
超人的に幸運な男を描いた。『シリウス』とか『超人』を連想した。

『危険!幼児逃亡中』☆☆
幼いが故に発動した能力を制御できずに暴走する超能力少女を描いたもの。日本のマンガ、アニメでは何度となく絵がれてきたテーマである。

『ハウ=2』☆☆
購入したロボットが、ロボットを作り出した。裁判になったら、ロボットは弁護士も作り出した。ちょっと経済的、会社組織的に考えたら、有り得ないことはすぐ分かるだろう。『ドラえもん』レベルのファンタジーだ。アシモフならもっとそのへんに隙のない話にするはずだろうに…。


『マッカンドルー航宙記』
☆☆☆☆

再読。
石原藤男とか堀晃なんかに比べれば、小説的な物語が主眼になっている感じ。帯にある「スペースオペラ」というのは妥当で、「ハードSF冒険小説」というのが適当かも。
最もハードSFらしい起承転結なのは『放浪惑星』だが、これまた石原藤男なら、出発前の研究所でのドタバタは省略するところだろう。
贅沢なボーナストラックである、作者自身による科学/フィクション解説も素晴らしい。