『祟り火の一族』小島正樹
☆☆☆★
横溝正史的本格ミステリー。
最初はどんどん読めるが、過去編(モノローグ)に入った途端読みづらくなるのは、一気に登場人物、しかも似た人物が増えるから。
そこからは同じみの怪奇現象的殺人事件が続発する。テイストもトリックも『龍の寺の晒し首』とほとんど同じで、どちらかが既読なら、もう一方は読む必要がないくらいだ。
違いと言えば、本作での名探偵、海老原には常に自らの過去を含め、(特に連続殺人を防げないという意味においても)横溝正史的名探偵の宿業のような哀しみが漂っている、ということが挙げられる。ま、本作においてはほとんどが過去の事件なので、そこまでのダメダメっぷりは感じないのだが。
祟り火の一族 小島 正樹 双葉社 2012-10-17 |