思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『密室蒐集家』大山誠一郎
☆☆☆★
原書房

1937年から2001年までを舞台にした密室殺人事件(連作)短編集。どこからともなくやってきて、真相を推理したら消えるところは、大山版『安楽椅子探偵』というところか。

『柳の園』☆☆★
Eの字形の校舎っていうのと、高校を舞台にした銃殺っていうのに無理がないかなぁ…。

『少年と少女の密室』☆☆☆★
個人的に本書のベスト。メイントリックにはギャフンと言わされた(舞台が古いだけに感想文も古臭い)が、被害者の行動には納得できないな〜。

『死者はなぜ落ちる』☆☆☆
刺殺後の落下死体の謎で、こちらは犯人の行動に「とっさにそこまで考え、行えるか〜?」と思う。(こんなんばっかり。要するに、パズラーとしての完成度は高いが、小説としてのリアリティはない、というところか。実際、どれも犯人の意外性は申し分ない)

『理由ありの密室』☆☆☆
本作では、倒叙ものとして、密室を作る場面が冒頭に描かれる。容疑者は、被害者が恐喝していた三人ということで、純粋な犯人当て的構造。なぜ被害者が鍵を飲み込んでいたのか?という謎の真相には、これまたリアリティ云々と言いたくなるが…。

『佳也子の部屋に雪ふりつむ』☆☆☆★
この作品のみ21世紀が舞台だが、トリック的には昭和の薫り漂うもの。いくつかのトリックを組み合わせているとはいえ、どれにも前例があるし、組み合わせじたいにも目新しさを感じなかった。