思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

松本良順という名前は知っていたが、幕末の蘭法医だったか…。
いちど聞いたら二度と忘れないという、ファンタジーかSFのような設定の従者まで出てくる。
伊之介というこの人付き合いのできない佐渡生まれの人物は、現代でいうならイディオ・サヴァンというところだろうか。
小説的な面白さは、個人的にはあまり感じないが、小説家なら、能力的にも性格的にも普通ではない人を描きたくなる気分はよくわかる。
歴史的には、江戸時代の医学制度と幕末の洋学の歴史を知るという意味で勉強になる。ことに官医ともいうべき法眼とか法印の江戸城における処世術などは。

胡蝶の夢〈第1巻〉 (新潮文庫)胡蝶の夢〈第1巻〉 (新潮文庫)

新潮社 1983-11