佐野洋
☆☆☆★
集英社文庫
ふとしたことから偽札を持ちかけられた主人公が、どうするかを描いたクライムノベル。
精巧な偽札が、いくら印刷業者が作ったとはいえ、簡単にできるのはご都合主義とも思えるが、そこはフィクションだし、何よりも本作が書かれた昭和38年には千円札の偽札事件があったらしい。
以下、ネタバレ。
(携帯からなので反転文字が使えないんです)
本作の特徴は、前述の、現実の事件が解決前に書かれた為、予言的な側面があること。
実際に本作と同様に、迷宮入りしたらしい。(少なくとも文庫出版当時までには)
推理小説として考えれば、『轢き逃げ』のように二部構成にして、後半に犯行が露見するまでの捜査陣の活躍を描くのが本来だろうが。
まあ、本作は小説としては割と綺麗に終わっているので、これはこれで良いと思う。